フッ素樹脂はPTFEをはじめとして、さまざまな種類が開発されています。今回ご紹介するPFAは、PTFEを改良するために開発された優秀な耐性と加工性を持つフッ素樹脂となります。フィリールでは、このフッ素樹脂「PFA」の販売も行っておりますので、PFAの仕入れ・調達を考えている企業担当者は、是非お問い合わせ下さい。]
目次
そもそもフッ素樹脂とは
フッ素樹脂とは「ポリテトラフルオロエチレン」と呼ばれ、英語表記の単語の頭文字をとって、「PTFE」と呼ばれています。アメリカのデュポン社が1930年代後半で開発した物質で、日本では1950年代にダイキンが正式にフッ素樹脂事業に参入し、それから自動車、医療、航空機、半導体などハイテク産業において、フッ素樹脂の技術が活かされています。
上記からも分かるように、フッ素樹脂とはPTFEを指しますが、近年は各産業や使用にあたっての課題解決のため、大変多くの改良品が開発されています。フッ素樹脂加工分野で活躍する世界企業は米国やフランス、中国、そして日本等が圧倒的シェアを占めており、日系企業では旭硝子株式会社、ダイキン工業、信越化学、三菱化学が世界のフッ素樹脂技術を牽引しています。
テフロンとフッ素樹脂の違い
一般の方にとっては、フッ素と言えば「焦げない・食べ物が張り付かない」テフロンが最も知られていますね。テフロンは実はフッ素樹脂と同じ意味を持ち、フッ素樹脂を開発したデュポン社の登録商標となります。
そのため、商品によってはテフロンであったり、フッ素コーティングであったりと呼び方は各社で異なりますが、基本的な技術は同じとなります。
フッ素樹脂はどんな産業に利用されている?
とはいえ、世界の需要や市場シェアを見てみると、家庭一般で使われているフッ素樹脂は全体の僅か6%しかなく、実はさまざまな産業でフッ素樹脂のハイテク技術が採用されています。
フッ素樹脂と半導体産業
まず、フッ素樹脂の世界シェアで最も高い割合を占めている分野が半導体産業です。半導体製造装置の部品の一部に使われることが多く、耐薬品性が高いため、製造装置の中で医薬品が付着する可能性がある場所にあてがわれることが普通です。
フッ素樹脂と自動車産業
続いて大きなシェアを占めているのは自動車産業です。普段一般の人が乗っている車には幾種類のフッ素樹脂加工品が搭載されています。燃料ホース、フィラーネックホース、ターボチャージャーホース、リチウムイオン電池、パワートレイン、車載ディスプレイ、車載センサーには基本的にフッ素樹脂の加工品が使われています。
フッ素樹脂と産業機械・化学工業
フィルム、エアフィルター、配管材料、ポンプなど、フッ素樹脂の耐食性、耐候性、耐熱性を活かした部分で使われることが多く、特に化学工業では耐薬品性の高い種類のフッ素樹脂を活用します。
フッ素樹脂にもさまざまな種類がある
フッ素樹脂はPTFEの他にもさまざまな種類があります。有名どころでいえば、「PFA」、「FEP」、「PCTFE」、「ECTFE」、「PVDF」などがその代表となります。
フッ素樹脂「PFA」とは
PFAはPTFEの次に高い需要を誇るフッ素樹脂で、基本となる特性は“ほぼ”PTFEと同等となります。ただし、PTFEは溶融成形ができませんが、PFAは可能となります。というよりも、PFAは溶融成形ができないPTFEを改良するために開発されたものとなります。
PFAの特徴・材料特性
上述したように、PFAは溶融成形が可能となるため、被膜して高温及び耐食性能が求められるものに対して非常に有益な効果を発揮してくれます。
その他にもPFAの常用耐熱温度はPTFEと同じ260°となり、耐摩耗性と耐食性はいずれもPFAがPTFEを上回っています。PFAはPTFEの加工性を高めたフッ素樹脂と言えるでしょう。
半導体と医療機器で重宝されるPFAの材料特性「純粋性・耐薬品性」
PFAの材料特性の1つに「純粋性」が非常に重要な役目を持っています。半導体では金属イオンの溶け出しが少なく、医療機器では薬品による腐食の心配がありません。
PFAの高い「絶縁性」はETFE以上
PFAの絶縁性はETFE以上で、また誘電率も低いため医療機器の部品や医師が使う医療器具(ピンセットなど)にも有効利用されています。半導体業界では配線のコーティングに使用する例が多いです。
紫外線や太陽光に強い「耐候性」
フッ素樹脂の性質の1つに「耐候性」が挙げられますが、とりわけPFAは耐候性が高く、紫外線・太陽光ともに遮断して変色や劣化を防ぐことができます。
耐候性が低いと、長時間屋外に照らされていると、変色したり、破損することがあります。典型的な例では洗濯バサミがよく挙げられますね。洗濯ばさみを長いこと使い続けていると、ある日突然割れてしまいますよね。
そのような事態が精密機器や屋外工業用機器でも起きないように、耐候性の高いフッ素樹脂でコーディングするのが近年は通常となります。身近なところでは屋根や壁、テントなどにも使用されていますし、東京ドームにもコーディングされています。
フィリールで販売する「PFA AP-231SH」の材料特性
フィリールではPFAに関しては「PFA AP-231SH」の丸棒を販売しています。「PFA AP-231SH」の材料特性は、「完全フッ素化された高純度のPFA」であることです。切削はもちろん押出成形やトランスファー成形をすることもでき、PTFEと並んで低温・超高温にも対応。不燃性の強靭な材料特性を誇ります。
PFAの加工方法
PFAは一般的に押出成形法や射出成形法を用いた加工に向いています。情報記事によってはブロー成形法も可能との記載も見受けられますが、ブロー成形ができる企業は世界に数えるほどしかありませんので、かなり特殊と言えるでしょう。
PFAを含むフッ素樹脂加工も近年は非常に種類が増え、また切削以外にも多様な加工方法を行うことができるようになりました。そのため、フッ素樹脂加工を製造業に依頼する際は材料の特性を熟知している技術者が加工にあたる必要があります。
フィリールではフッ素樹脂「PFA」の丸棒を販売
今回ご紹介したフッ素樹脂のPFAですが、弊社フィリールではPFAの丸棒を販売しております。2020年より猛威を振るう新型コロナの影響で、現在フッ素樹脂全般が供給不足となっています。
フッ素樹脂PFAが日本で材料不足に陥っている理由
現在フッ素樹脂を求める多くの企業が悩んでいるのが、「どこの販売店もフッ素樹脂が売り切れている」というものです、取り分けPFAとPCTFEの2種は大手の販売店も販売停止をしており、商社も実質お手上げ状態となっている模様です。
フッ素樹脂のPFAやPCTFEは昨今の米国とヨーロッパの経済回復によって、急激に需要が増加し、製造メーカーの多くが欧米への供給に尽力しており、日本に回ってくる分がない、という形となっています。この状況はしばらく2022~2023年頃まで続くと言われています。
PFAを含むフッ素樹脂の切削加工を承ります
フィリールは切削加工に特化した製造業として長らく大阪を拠点に活動しております。現在では中国やベトナムに工場を有し、仕入先もベトナム・中国・韓国の3か国と深いコネクションがあるため、大手の商社も手に入れられないPFAとPCTFEの2種の丸棒を日本国内で販売することに成功しております。
その弊社はPFAを含むフッ素樹脂の切削加工も積極的に承っております。PFAの切削時は体積変化が起きないように室温管理から徹底しなければなりません。また、バリが工具に大量に付着すると、精度が落ちるだけではなく、工具もダメになってしまうため、経験と知識のない技術者が切削加工にあたることはで来ません。
PFAの切削加工で量産・数ものを受注できる理由
通常の加工工場では、PFAの切削加工を請け負っているところはあっても、受注できるのは100個くらいまでです。切削加工は1つ1つ丁寧に加工をしなければならないので、高精度を出すことができる一方で人件費と工作機械のチャージ費用が高くつきます。そのため、1000個、1万個単位のPFAの量産加工が必要な場合は、基本は射出成形・押出成形などが選択されます。
しかし、近年はPFAを含むフッ素樹脂は医療機器や半導体、バルブといった業種で高い需要を誇るようになり、年々高い精度が求められるようになっています。射出成形は量産に向いているものの、強度や精度にばらつきが出てしまったり、金型のコンディションによって加工が不安定になる場合があります。
一方で弊社フィリールでは、1000個、1万個単位のPFAの切削加工であっても請け負うことが可能。弊社代表は中国に所在を置く1万平方メートル以上の巨大な工場の取締役副社長を兼任しており、そこで、10万個以上の部品生産も可能としています。
PFAの丸棒&材料加工はまずはご相談ください!
弊社フィリールではPFAを中心としたフッ素樹脂の丸棒を年間を通して安定供給が可能となります。今後もフッ素樹脂の需要は増加傾向にあり、日本国内においても慢性的な供給不足に陥る可能性が非常に高いです。安定した価格と供給を求めている方や、高精度の切削加工をご希望の企業は、是非一度フィリールまでご相談ください。