SK鋼材の分類と性能|SK1からSK5の違いと特徴を徹底解説
工具鋼の中でも代表的な存在がSK材です。特に「SK1からSK5」に分類される炭素工具鋼は、
金属加工や刃物の製造に幅広く利用されています。しかし、それぞれの分類がどのように異なるのか、
また性能面でどのような特徴があるのかを理解している方は意外と少ないかもしれません。
本記事では、SK材の基本知識から各分類の性能比較、用途ごとの選び方まで徹底解説していきます。
SK鋼材とは
SK材は「炭素工具鋼(Carbon Tool Steel)」のJIS規格で定められた鋼種の総称です。
「SK」はSteel Kougu(鋼工具)の略とされ、炭素含有量が0.6~1.5%と高いため、硬さや耐摩耗性に優れています。
主な用途は切削工具・金型・刃物などで、コストを抑えながらも十分な性能を発揮するため、
中小規模の加工現場でも広く採用されています。
炭素工具鋼の特徴
炭素工具鋼は、熱処理によって高い硬さを得られる一方で、焼き戻しによる靭性低下や耐食性の弱さといった課題もあります。
そのため、用途や加工条件によっては合金工具鋼(SKSやSKDなど)が選ばれる場合もあります。
しかし、コストと性能のバランスに優れている点がSK材の大きな魅力です。
SK材の分類:SK1からSK5の違い
JIS規格ではSK1からSK5までに分類され、それぞれ炭素含有量や硬さが異なります。
数字が小さいほど炭素量が多く、硬さが高い傾向にありますが、その分靭性や耐久性に差が出てきます。
以下に一覧表でまとめました。
分類 | 炭素含有量(%) | 主な特徴 | 代表的な用途 |
---|---|---|---|
SK1 | 約1.3〜1.5 | 非常に硬いが靭性が低い | 精密刃物、細工用工具 |
SK2 | 約1.2〜1.4 | 硬度と耐摩耗性が高い | 測定工具、木工用刃物 |
SK3 | 約1.0〜1.2 | バランス型、強度と加工性の両立 | 鋸、一般刃物 |
SK4 | 約0.9〜1.1 | 靭性がやや高い | ナイフ、工具類 |
SK5 | 約0.8〜1.0 | 硬さよりも靭性を重視 | バネ鋼、工具部品 |
分類ごとの性能差
上表から分かるように、SK1やSK2は硬度と耐摩耗性を重視し、SK4やSK5は靭性や耐衝撃性を意識した設計になっています。
SK3はその中間に位置し、幅広い用途で使われるバランス型です。
加工現場では、求める性能に応じてこれらを使い分けることが重要です。
SK材の選び方と用途
SK材を選定する際には、製品の用途や加工条件に合わせて分類を選ぶ必要があります。
例えば、硬さを最優先する精密工具にはSK1やSK2が選ばれやすく、衝撃を受けやすい工具部品にはSK4やSK5が向いています。
より詳細な比較は、合金工具鋼との比較コラムも参考にしてください。
用途別の選定例
- 切削精度を求める → SK1, SK2
- 汎用工具に利用 → SK3
- 耐衝撃性を重視 → SK4, SK5
SK材と他の工具鋼との比較
SK材はコストパフォーマンスに優れていますが、耐熱性や耐食性では合金工具鋼に劣ります。
そのため、高温での使用や錆びやすい環境ではSKDやSKSといった合金工具鋼が選ばれることもあります。
よくある質問(FAQ)
- Q1: SK1からSK5の違いは何ですか?
- SK1からSK5は炭素含有量によって分類されます。SK1やSK2は炭素量が多く高硬度で耐摩耗性に優れますが靭性が低めです。
一方、SK4やSK5は炭素量が少なめで、耐衝撃性に優れます。SK3はその中間にあり、幅広く利用されます。 - Q2: SK材はどのような用途に使われますか?
- 主に工具や刃物、金型部品に使用されます。精密な切削が必要な場面ではSK1やSK2、
衝撃を受けやすい部品にはSK4やSK5が適しています。
詳しくは工具鋼の用途解説コラムもご覧ください。 - Q3: SK材とSKD材の違いは何ですか?
- SK材は炭素工具鋼でコストパフォーマンスに優れますが、耐熱性や耐食性に弱い点があります。
SKD材は合金工具鋼で、耐熱・耐摩耗性に優れており、ダイカスト金型や高温工具に用いられます。
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