銅合金の中でも特に身近な存在である真鍮と砲金。両者は外観が似ていることから混同されやすいですが、化学組成や物理的性質、加工性、耐久性に明確な違いがあります。本記事では、真鍮と砲金の違いを詳細に解説し、用途に応じた選定ポイントまで紹介します。
真鍮とは|組成と基本特性
真鍮は主に銅(Cu)と亜鉛(Zn)で構成され、亜鉛量の増減によって硬さや色味が変化します。一般的に快削性が高く、耐食性に優れるため、ねじ・歯車・装飾部品など幅広く使用されます。真鍮の詳細な特性は、真鍮の特性に関して解説で詳しく解説しています(参考: JIS)。
| 特性 | 値の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 引張強さ | 300〜500 MPa | 加工性を維持しつつ、一般構造部材に対応 |
| 硬度(HV) | 70〜120 | 快削性と耐摩耗性のバランス |
| 比重 | 8.4〜8.7 | 軽量で扱いやすい |
砲金とは|組成と基本特性
砲金は銅(Cu)とスズ(Sn)を主成分とする青銅の一種で、摩耗や衝撃に強い特徴があります。軸受けや歯車、ポンプ部品など、強度や耐摩耗性が求められる用途に適しています。詳細な特性は、砲金の特性に関して解説で詳しく解説しています(参考: 日本鉄鋼連盟)。
| 特性 | 値の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 引張強さ | 400〜600 MPa | 耐摩耗性に優れる |
| 硬度(HV) | 90〜150 | 耐摩耗性と耐衝撃性のバランス |
| 比重 | 8.7〜8.9 | やや重めで安定性が高い |
真鍮と砲金の違い|性質と用途での比較
- 加工性:真鍮は切削性・成形性が高く、精密加工に適しています。砲金は加工性はやや低めですが、摩耗や衝撃に強い特徴があります。
- 耐食性:真鍮は耐食性に優れるため水回りや装飾用途に適します。砲金は耐摩耗性重視の構造部材向けです。
- 強度・硬度:砲金は摩耗や衝撃に強く、軸受け・歯車などの高負荷部品に最適です。真鍮は軽負荷の精密部品向けに適しています。
真鍮と砲金の比較や選定基準については、真鍮と砲金の違いに関して解説で詳しく解説しています。
用途別の性質活用例
- 装飾部品・文具:真鍮の加工性と光沢を活かす
- 軸受け・歯車:砲金の耐摩耗性と強度を活かす
- バルブ・ポンプ部品:耐食性を考慮し真鍮を選定
選定時の注意点と実務ポイント
選定時には、使用環境・負荷条件・加工性・耐久性を総合的に考慮することが重要です。特に砲金は摩耗や衝撃負荷に耐える設計が必要で、真鍮は精密加工後の表面処理や耐食性を考慮することが求められます。
よくある質問
まとめ|用途に応じた最適選定
- 真鍮:加工性・耐食性重視、軽負荷精密部品に最適
- 砲金:耐摩耗性・強度重視、高負荷構造部材に最適
- 用途や環境に応じて、性質と組成を理解した選定が部品寿命と品質の確保につながります
本記事では、真鍮と砲金の違い、性質、用途別の選定ポイントを詳細に解説しました。正しい知識を基に、設計・加工で失敗しない部品選定を行いましょう。