A2017は高強度を有するアルミ合金であり、ジュラルミンとも呼ばれています。本記事ではA2017の機械的性質や特徴、加工について詳しく説明します。A2017の加工を検討している方や、アルミ合金の知識を深めて仕事に役立てたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
A2017とは?
A2017は別名「ジュラルミン」として知られ、Cu(銅)とMg(マグネシウム)が添加されたアルミ合金です。これらの元素が添加されている理由は、アルミ合金の強度を向上するためです。アルミ合金は軟らかい性質を有するため、添加元素によって強度を向上させることで、様々な用途に使用できます。
アルミ合金について
アルミ合金は、A2017のようにアルファベット「A」から始まる名称が一般的で、頭文字「A」はAluminum(アルミニウム)が由来です。またA2017の「2」に該当する数字は、アルミ合金の系統を表しています。たとえば純アルミは「1」であり、Cuを添加したアルミ合金は「2」です。アルミ合金の各系統は、以下のとおりです。
・「1」純アルミ
・「2」Cuを添加したアルミ合金
・「3」Mn(マンガン)を添加したアルミ合金
・「4」Si(ケイ素)を添加したアルミ合金
・「5」Mgを添加したアルミ合金
・「6」MgとSiを添加したアルミ合金
・「7」Zn(亜鉛)とMgを添加したアルミ合金
A2017の「0」に該当する数字を見ると、基本成分と改良成分を判別できます。基本成分は「0」で示されるのに対して、改良成分の表記は「1」~「9」です。日本独自で開発された合金の場合、表示は数字ではなくアルファベット「N」で表されます。
A2017の「17」は、アメリカの規格を参考にして決められています。またA2017P-T6のように形状や熱処理方法を示す表記があり、アルファベット「P」に該当する形状記号は次のとおりです。
・「P」板、円板
・「PC」合わせ板
・「BE」押出棒
・「BD」引抜棒
・「W」引抜線
・「TE」押出管
・「TD」引抜管
・「TW」溶接管
・「TWA」アーク溶接管
・「S」押出形材
・「FD」型打鍛造材
・「FH」自由鍛造材
A2017P-T6の「T6」は質別記号と呼ばれ、熱処理の方法がわかります。
・「F」製造のまま(熱処理をしない)
・「H1」加工硬化のみ
・「H2」加工硬化後に軟化熱処理
・「H3」加工硬化後に安定化熱処理
・「T1」高温加工後に自然に時効硬化
・「T2」高温加工後に冷却加工を行い、自然に時効硬化
・「T3」溶体化熱処理に冷間加工を行い、自然に時効硬化
・「T4」溶体化熱処理に自然に時効硬化
・「T5」高温加工後に人工的に時効硬化
・「T6」溶体化熱処理に人工的に時効硬化
・「T7」溶体化熱処理に安定化熱処理硬化
・「T8」溶体化熱処理に冷間加工を行い、人工的に時効硬化
・「T9」溶体化熱処理に人工的に事項硬化を行った後、冷間加工
アルミ合金を実際に使用する際は、熱処理や時効硬化といった手法を用いて、強度を向上させることが大切です。アルミ合金の用途に応じて、上記のように様々な処理が施されています。
・「1」純アルミ
・「2」Cuを添加したアルミ合金
・「3」Mn(マンガン)を添加したアルミ合金
・「4」Si(ケイ素)を添加したアルミ合金
・「5」Mgを添加したアルミ合金
・「6」MgとSiを添加したアルミ合金
・「7」Zn(亜鉛)とMgを添加したアルミ合金
A2017の「0」に該当する数字を見ると、基本成分と改良成分を判別できます。基本成分は「0」で示されるのに対して、改良成分の表記は「1」~「9」です。日本独自で開発された合金の場合、表示は数字ではなくアルファベット「N」で表されます。
A2017の「17」は、アメリカの規格を参考にして決められています。またA2017P-T6のように形状や熱処理方法を示す表記があり、アルファベット「P」に該当する形状記号は次のとおりです。
・「P」板、円板
・「PC」合わせ板
・「BE」押出棒
・「BD」引抜棒
・「W」引抜線
・「TE」押出管
・「TD」引抜管
・「TW」溶接管
・「TWA」アーク溶接管
・「S」押出形材
・「FD」型打鍛造材
・「FH」自由鍛造材
A2017P-T6の「T6」は質別記号と呼ばれ、熱処理の方法がわかります。
・「F」製造のまま(熱処理をしない)
・「H1」加工硬化のみ
・「H2」加工硬化後に軟化熱処理
・「H3」加工硬化後に安定化熱処理
・「T1」高温加工後に自然に時効硬化
・「T2」高温加工後に冷却加工を行い、自然に時効硬化
・「T3」溶体化熱処理に冷間加工を行い、自然に時効硬化
・「T4」溶体化熱処理に自然に時効硬化
・「T5」高温加工後に人工的に時効硬化
・「T6」溶体化熱処理に人工的に時効硬化
・「T7」溶体化熱処理に安定化熱処理硬化
・「T8」溶体化熱処理に冷間加工を行い、人工的に時効硬化
・「T9」溶体化熱処理に人工的に事項硬化を行った後、冷間加工
アルミ合金を実際に使用する際は、熱処理や時効硬化といった手法を用いて、強度を向上させることが大切です。アルミ合金の用途に応じて、上記のように様々な処理が施されています。
A2017について
A2017にT4処理を施すと、425N/mm2の引張強さが得られます。汎用的なアルミ合金A5052の引張強さは300N/mm2にも達しないため、A2017は強度の優れたアルミ合金です。そのためA2017は、強度が必要とされる用途に用いられています。
またA2017の比重は2.79と小さく、鉄やステンレス鋼の約3分の1に匹敵します。したがって、軽量材料が求められる航空分野や自動車分野など、幅広い用途に使用できることが特徴的です。
A2017は、ほかのアルミ合金と同様に溶接性に劣る性質があります。アルミ合金は熱伝導率が約200W/(m・K)と高いため、溶接母材に熱が伝わってしまうからです。また耐食性も低いため、腐食されやすい環境でA2017を使用する際は、耐食処理を施す必要があります。
これらの特徴を有するA2017の成分は、JIS規格(日本工業規格)で次のように定められています。
・Si(シリコン)0.20~0.80%
・Fe(鉄)0.70%以下
・Cu(銅)3.5~4.5%
・Mn(マンガン)0.40~1.00%
・Mg(マグネシウム)0.40~0.80%
・Cr(クロム)0.10%以下
・Zn(亜鉛)0.25%以下
・Ti(チタン)0.15%以下
・その他元素の個々0.05%以下
・その他元素の合計0.15%以下
またA2017の比重は2.79と小さく、鉄やステンレス鋼の約3分の1に匹敵します。したがって、軽量材料が求められる航空分野や自動車分野など、幅広い用途に使用できることが特徴的です。
A2017は、ほかのアルミ合金と同様に溶接性に劣る性質があります。アルミ合金は熱伝導率が約200W/(m・K)と高いため、溶接母材に熱が伝わってしまうからです。また耐食性も低いため、腐食されやすい環境でA2017を使用する際は、耐食処理を施す必要があります。
これらの特徴を有するA2017の成分は、JIS規格(日本工業規格)で次のように定められています。
・Si(シリコン)0.20~0.80%
・Fe(鉄)0.70%以下
・Cu(銅)3.5~4.5%
・Mn(マンガン)0.40~1.00%
・Mg(マグネシウム)0.40~0.80%
・Cr(クロム)0.10%以下
・Zn(亜鉛)0.25%以下
・Ti(チタン)0.15%以下
・その他元素の個々0.05%以下
・その他元素の合計0.15%以下
A2017の加工方法
一般的に材料の強度が高くなるにつれて、切削加工性は低下する傾向が見られますが、A2017は切削加工性が良好です。したがってA2017の加工では、主に切削加工が使用されます。
アルミ合金の切削加工では、工具を適切に選ぶことが大切です。たとえば工具の切れ刃がシャープになっていないと、切削抵抗が大きくなり切れ刃に「溶着」が発生しやすくなるためです。アルミ合金は融点が600℃前後と低いため、加工熱で簡単に溶けてしまい工具に付着する「溶着」が発生します。
したがって切れ刃の形状はシャープなものを選び、切削抵抗が少なくなるような工具選びが重要です。A2017を加工する際は切れ刃の形状のほかに、切削速度にも注意すると良いでしょう。切削速度が遅いと切削抵抗が大きくなるため、溶着が生じやすくなります。そのため高速切削を行い、切削抵抗を抑えることで溶着を防ぐことが重要になります。
アルミ合金の形状によって、加工方法を適切に選択することも大切です。板状のアルミ合金を加工する場合は、板材を任意の角度に曲げながら加工する「曲げ加工」も選択肢の一つです。
曲げ加工の中でも、ロールを用いる「ロール曲げ」やプレート上で板材を曲げる「板折曲げ」など、様々な種類があります。大量生産に適した加工方法は、金型を用いた「ベンダー曲げ」です。用途や加工形状に合わせて、適切な加工方法を選ぶようにしましょう。
アルミ合金の切削加工では、工具を適切に選ぶことが大切です。たとえば工具の切れ刃がシャープになっていないと、切削抵抗が大きくなり切れ刃に「溶着」が発生しやすくなるためです。アルミ合金は融点が600℃前後と低いため、加工熱で簡単に溶けてしまい工具に付着する「溶着」が発生します。
したがって切れ刃の形状はシャープなものを選び、切削抵抗が少なくなるような工具選びが重要です。A2017を加工する際は切れ刃の形状のほかに、切削速度にも注意すると良いでしょう。切削速度が遅いと切削抵抗が大きくなるため、溶着が生じやすくなります。そのため高速切削を行い、切削抵抗を抑えることで溶着を防ぐことが重要になります。
アルミ合金の形状によって、加工方法を適切に選択することも大切です。板状のアルミ合金を加工する場合は、板材を任意の角度に曲げながら加工する「曲げ加工」も選択肢の一つです。
曲げ加工の中でも、ロールを用いる「ロール曲げ」やプレート上で板材を曲げる「板折曲げ」など、様々な種類があります。大量生産に適した加工方法は、金型を用いた「ベンダー曲げ」です。用途や加工形状に合わせて、適切な加工方法を選ぶようにしましょう。
A2017の組織
A2017の高い強度は、時効硬化に起因しています。時効硬化とは、時間が経過するにつれて硬度が向上する現象のことです。A2017に熱処理を施した後、時効硬化によって化合物が形成されます。化合物が析出している材料は強度が向上するため、多くの材料で熱処理や時効硬化が利用されています。
しかし熱処理の温度や時間など、条件設定の際は注意が必要です。たとえば熱処理の時間が長くなると、化合物が粗大化(化合物が大きくなる現象)し強度が低下する要因になります。したがって最終的に必要な特性に合わせて、適切に熱処理を施すことが重要です。
A2017にT4処理を施すと、以下の特性が得られます。
・ブリネル硬さ105HB
・引張強さ425N/mm2
・耐力275 N/mm2
・せん断強さ260 N/mm2
・伸び20%
代表的なアルミ合金のA5052では、ブリネル硬さが約70HBであることから、A2017の硬さが比較的に高いことがわかります。しかしA2017は耐食性に劣っているため、腐食環境下でアルミ合金を使用する際は、A5052が有利になります。このように、アルミ合金の種類によって特徴が異なるため、用途に応じて正しく材料を選択することが重要です。
しかし熱処理の温度や時間など、条件設定の際は注意が必要です。たとえば熱処理の時間が長くなると、化合物が粗大化(化合物が大きくなる現象)し強度が低下する要因になります。したがって最終的に必要な特性に合わせて、適切に熱処理を施すことが重要です。
A2017にT4処理を施すと、以下の特性が得られます。
・ブリネル硬さ105HB
・引張強さ425N/mm2
・耐力275 N/mm2
・せん断強さ260 N/mm2
・伸び20%
代表的なアルミ合金のA5052では、ブリネル硬さが約70HBであることから、A2017の硬さが比較的に高いことがわかります。しかしA2017は耐食性に劣っているため、腐食環境下でアルミ合金を使用する際は、A5052が有利になります。このように、アルミ合金の種類によって特徴が異なるため、用途に応じて正しく材料を選択することが重要です。
A2017の用途
A2017では高い強度と軽量である特徴を活かして、次の用途に使用されます。
・航空機
・ロケット部品
・ねじ類
・船舶用材
・機械部品
・金型
・油圧部品
・鉄道車両
・航空機
・ロケット部品
・ねじ類
・船舶用材
・機械部品
・金型
・油圧部品
・鉄道車両