ステンレスというと、錆びない、磁石につかなない、軽いなどといったイメージがありますね。いまでは家庭用品から電子部品、車、航空、宇宙産業に至るまで幅広く使われている金属素材となります。
しかし、そのステンレスも加工方法によっては熟練したプロの腕がなければ、図面通りの理想の製品には至りません。「どこの製造業も品質は同じでしょ」と相見積もりで安さ重視で決めてしまうと、大きなしっぺ返しをもらうことにも繋がりませんよ。
目次
あらゆる部品に使われるステンレス加工品
ステンレス加工品は、一般の家庭でもよく見受けられます。錆びない、軽いという特性からキッチン用品によく使われているほか、機械部品のパイプやドレンパン、フレーム、制御盤といった重要な役割を担っています。
誤解されがちですが、ステンレスはもともと鉄です。純鉄を合金にすることによって、スチールやステンレスを生成することができ、ステンレスはクロム含有量が多い合金となります。そのため、強度は鉄のように丈夫ですし、表面処理を施さなくとも耐用年数が長く、長期間野ざらしでも強い耐久性を維持することができます。
近年は塗装と表面処理の技術も発達しましたので、鋼やアルミでもこれらの特性を補うことはできるのですが、それでもステンレスは各業界から根強い支持があります。
ステンレス加工を依頼する業者選びのポイント
ステンレスの加工を業者に依頼する場合、切削や溶接を含む加工工程がある場合は、必ず業者を吟味するようにしてください。上述したように、ステンレス自体はありふれた素材ですし、ほぼすべての業者でステンレスの仕入れから切削まで請け負っているのが現状ですが、ステンレスは急冷することによってマルテンサイト化して、硬くありながら、脆い組織へと変質してしまう特性があります。そのため、溶接をしたあとに脆くなってしまったり、硬くなっているために切削がうまくいかなかったり、精度を落としたりする現象がリスクとして考えられます。
そのため、ステンレスの特性と加工に関する工具選び、工作機の選び方などを熟知したベテランが一次対応に当たってくれる業者を選ぶべきとなります。
ステンレスの加工費が高騰!国内対応のみの業者は選ぶべきではない
ステンレスは近年は車やIT、宇宙産業といったいわゆるハイテク産業における需要が急増し、特に車はハイブリッド車や電気自動車の発達とともに、軽くて丈夫なステンレス素材が重宝されるようになりました。
そこで昨今問題として顕在化しているのが、「世界的なステンレス価格の高騰」です。新型コロナのため輸出港の人員が少なく、さらにコンテナ不足もあり、ステンレス価格が2021年の秋口以降に高騰しています。急速なインフレと経済回復をしている欧米にステンレスが取られていることも理由に挙げられ、日本におけるステンレス価格は、従来の1.5~3倍まで膨れ上がっており、今後もしばらくは価格は値上がりを続けると思われています。
ステンレス加工業者が海外に工場を持つ意味とは
ステンレスの慢性的な品不足と価格の高騰を受け、ここ数年、日本におけるステンレスの輸入量は20%ずつ増えています。いままでは韓国からの輸入が主でしたが、昨今は中国や台湾からの輸入量も伸びています。
ステンレス加工を依頼する業者が、もし「うちは日本国内の工場しかないよ」、「調達は問屋を通しているよ」という場合は、ステンレスの調達がうまくいかないため、見積もり価格が高騰している可能性が高いです。また、「うちは中国にある販売店から購入しているから大丈夫だよ」というステンレス加工工場も心配です。大抵は中国にある日系もしくは日本の工場をターゲットにしている商社なので、仕入れ価格は足元を見られているため、かなり高いはずです。
毎月安定したステンレスの調達ができるかも業者選びのポイント
上記のように、町工場の多くがステンレス価格の高騰に四苦八苦していますが、さらに問題となるのが、「毎月安定した供給に応えるのが難しい」ことです。「在庫限りで次はいつ入ってくるか分からない」、「協力会社から売ってもらっているが、価格は高いし、いつまで続けられるか分からない」といった悩みを持つ工場が多く、部品や製品に使う大量のステンレスの確保が現状は難しい様子がうかがえます。
そのため、ステンレス加工を業者に依頼する際は、毎月どのくらいのロットを加工・納品できるかもしっかりと確認しておくことが大切となります。
ステンレス加工業者は一気通貫型の業者を選ぶのがおすすめ
ステンレスの加工の中でも、プレス、溶接、切削は業者の中には不得意とするところも少なくありません。また、プレスや溶接だけ専門業者に委託し、切削は切削業者に委託すると、ステンレスが割れたり、理想の硬度が出なかったときの責任の所在の問題もあります。加工から製品化までの責任の所在を分かりやすくするためにも、ステンレスの加工は1社の業者にすべて任せるのがおすすめです。
切削専門業者フィリールのステンレス素材の調達に関して
弊社フィリールは大阪に拠点をおく切削の専門業者ですが、ベトナムに加工工場、中国に部品生産工場を有し、また韓国を含めた3か国からステンレスを含む金属素材の輸入を行っています。ステンレスは現地の自社工場から輸出しているため、いつでも安定した価格と量を調達することができるのが強みとなります。