ステンレスというと、錆びない、磁石につかない、軽いなどといったイメージがありますね。いまでは家庭用品から電子部品、車、航空、宇宙産業に至るまで幅広く使われている金属素材となります。
しかし、そのステンレスも加工方法によっては熟練したプロの腕がなければ、図面通りの理想の製品には至りません。ステンレスは難削材として、金属加工業者泣かせの金属素材でもあります。「どこの製造業も品質は同じでしょ」と相見積もりで安さ重視で決めてしまうと、大きなしっぺ返しをもらうことにも繋がりません。そのため、ステンレスの旋盤量産を金属加工業者に依頼したい場合、業者選びには注意が必要となります。
目次
- あらゆる部品に使われるステンレス加工品
- ステンレスの材料としての特徴
- ステンレス加工の旋盤量産は想像以上に難しい
- ステンレス加工を依頼する業者選びのポイント
- ステンレス加工の旋盤量産はさらに業者選びに注意が必要!
- 量産の注意点。こんな業者は危ないかも!
- ステンレス加工品の旋盤量産を業者に依頼。見積もりを抑える方法
- 全国対応している切削業者の注意点
- 海外に工場を持つ製造業にステンレス加工の量産を依頼するのも安くする秘訣
- フィリールでは中国工場の量産品質に自信があります
- 大阪で業者を探すならフィリールへ。ステンレス加工の旋盤量産に対応!
- 低コストでステンレス加工の量産が可能。フィリールはベトナム工場も稼働中!
- ステンレスの加工業者は完成後の品質には大きな違いがある
あらゆる部品に使われるステンレス加工品
ステンレス加工品は一般の家庭でもよく見受けられます。錆びない、軽いという特性からキッチン用品によく使われているほか、機械部品のパイプやドレンパン、フレーム、制御盤といった重要な役割を担っています。
誤解されがちですが、ステンレスはもともと鉄です。純鉄を合金にすることによって、スチールやステンレスを生成することができ、ステンレスはクロム含有量が多い合金となります。
そのため、強度は鉄のように丈夫ですし、表面処理を施さなくとも耐用年数が長く、長期間野ざらしでも強い耐久性を維持することができます。近年は塗装と表面処理の技術も発達しましたので、鋼やアルミでもこれらの特性を補うことはできるのですが、それでもステンレスは各業界から根強い支持があります。
ステンレスの材料としての特徴
ステンレスは鉄と一概にいっても、含まれる別の成分やその含有率によって、種類が区別されています。
最も有名なのは、オーステナイト系で耐食性や高温と低温にも非常に強いステンレス材質となります。昔からステンレスは「磁石につかない」と言われていますが、これもオーステナイト系の持つ特徴となります。
その他にも同じステンレス素材として、マルテンサイト系やフェライト系がありますが、いずれもオーステナイト系と比べると耐食性に劣るほか、脆さもあるため、調理機器や建築、一部電子機器などに使われます。
このように、ステンレス加工を業者に依頼する際は、本当にそのステンレス鋼の種類で合っているのかを再度確認しなければなりません。
厳密に言えば、同じオーステナイト系の中でも、SUS304、316などと番号によってさらに種別化されています。
ステンレス加工に強い業者であれば、メーカー担当者とより詳しく検討・提案をすることができます。
ステンレス加工の旋盤量産は想像以上に難しい
ステンレスは熱伝導率が低いため、旋盤加工をする際に工具の先端に熱が集まり、発散がしにくい欠点が挙げられます。この欠点は工具の寿命を短くするため、どこの金属加工業者も悩みどころの1つとなります。
工具が摩耗すると寸法公差が大きくなってしまい不良品に繋がりますし、最悪工具を買い替えなければなりません。そのため、金属加工業者の中にはステンレスの旋盤量産は請け負っていない、あるいは請け負いたくないという工場も普通にありますし、それを逆手に「ステンレスの旋盤量産請け負います」と積極的にPRする工場もあれば、ステンレスの旋盤加工の専門業者も出てきているほどです。
ステンレスは、一般的にありふれた素材であり、需要の高い加工依頼なのですが、このように業者によって得手不得手があるため、見積もりの価格に反映されやすいポイントともいえます。
そのため、ステンレス加工を業者に依頼する際は、複数社から見積もりをとって相見積もりにかけるのが普通となります。
ステンレス加工を依頼する業者選びのポイント
ステンレスの加工を業者に依頼する場合、切削や溶接を含む加工工程がある場合は、必ず業者を吟味するようにしてください。上述したように、ステンレス自体はありふれた素材ですし、ほぼすべての業者でステンレスの仕入れから切削まで請け負っているのが現状ですが、ステンレスは急冷することによってマルテンサイト化して、硬くありながら、脆い組織へと変質してしまう特性があります。
そのため、溶接をしたあとに脆くなってしまったり、硬くなっているために切削がうまくいかなかったり、精度を落としたりする現象がリスクとして考えられます。
そのため、ステンレスの特性と加工に関する工具選び、工作機の選び方などを熟知したベテランが一次対応に当たってくれる業者を選ぶべきとなります。
ステンレス加工の旋盤量産はさらに業者選びに注意が必要!
ステンレスの旋盤量産を依頼する場合、金属加工業者の選び方の注意点があります。
ステンレスは難削材の1つでもあるため、誤差が生じやすいことが挙げられます。
工場を選ぶ際は、ステンレスの旋盤加工の経験が豊富な金属加工業者を見つけるのが先決です。
また、旋盤量産を請け負っていないところは、もしかするとNC旋盤が古い型であったり、旋盤量産が難しい設備の現状にある可能性がありますので、避けるのが無難です。
量産の注意点。こんな業者は危ないかも!
ステンレス加工の量産を依頼する場合は、過去に数百個から1000個単位の量産を幾度となく請け負った実績がある業者を探してください。
ステンレス加工品問わず、30~50個以上の量産の場合は汎用旋盤ではなく、NC旋盤やマシニングセンタを使うのが一般的です。
これらは最初に数値をプログラミングすれば、同じ精度の加工を何度でも繰り返しでき、また加工中は技術者は立ち会う必要がないのが特徴となります。
しかし、言い換えれば最初のプログラミングで少しのミスでもあると、量産したすべての加工品が不良品となります。
また、工具の手入れを怠っていたり、どのくらいの数量の加工を終えたら治具を交換するべきかなど、量産依頼に慣れた人でなければ気が付かない作業が多くあります。
一度ステンレスの旋盤加工を始めると、NCの場合は途中で後戻りができません(加工中に立ち会わないため)ので、単なる技術と経験スキルだけではなく、プログラミングのスキルも必要となります。
完成度は図面に依存することを覚えておこう
旋盤量産を請け負う場合は、NC旋盤やマシニングセンタといった自動で切削する工作機械を使用しますが、これらは最初にプログラミングを行い、座標に忠実に加工しますので、完成度は図面に依存することになります。
そのため、どこの業者も最初の図面作成には非常に神経質になりますので、できるだけ多くの情報を業者に提供することが、高品質及びコストダウンのポイントとなることを覚えておいてください。
ステンレス加工品の旋盤量産を業者に依頼。見積もりを抑える方法
依頼する会社側からすると、「工場側からすると加工が難しいのは分かるけど、でも予算が限られているからコストは抑えたいんだよね」というのも本音のところです。ステンレス製品の加工を工場に依頼するさい、切削の一部だけを依頼するのではなく、別の行程、できれば図面から製品化まですべてを一つの工場で依頼するのが、実は最もコストを抑える方法の1つとなります。難削材の加工は手間と工数がかかるので、これだけだと量産であっても、どうしても見積もりが高くなってしまいがちです。
しかし、別の加工工程も最初から最後まで請け負うことができれば、工場側は全体を見て見積もりを作ることができるので、仮に概算予算がオーバーしたとしても、別の加工工程で無駄を省くことによって、依頼主の理想の見積もりを実現することができます。依頼する会社からすると、「加工の都度業者に相見積もりをとって、最安値のところに決めている」という担当者もいることでしょうが、どこの工場も1つの加工工程のみの受注は割に合わないことが多く、旋盤量産だけでは中々利益がとれないので、どうしても値切られるとアレルギー反応を起こしがちです。
近年は旋盤含む工作機械のオートフォーメーション化が目立ちますが、それでも操作するのも、加工チェックをするのも「人」です。依頼する会社と加工する業者がそれぞれwinwinの関係を築くことができれば、よりよい高品質の製品を作り上げることができることでしょう。
全国対応している切削業者の注意点
小さな町工場であっても、昨今は自社ホームページを持って全国から案件を受注しているところも増えてきました。しかし、業者を選ぶ際はしっかりと工場の有する設備や実績、得意な加工分野、所在地を確認しなければなりません。
直接工場や事務所に出向いて商談することができない場合は、メールや電話で相手の素性を知らなければなりませんが、メール対応などに慣れていない工場の場合は、メールで質問を送っても数日返信がない、なんてこともざらにありますし、納期が遅れたりする場合の連絡もなかったりすることがあります。
旋盤量産を依頼する際は提携先の有無も確認
ステンレス加工の旋盤量産を依頼する際は、切削工場に提携先の情報も聞けるだけ聞いておくことをおすすめします。
板金や溶接、表面処理といった行程も一気通貫で業者に依頼する場合は、基本的に依頼を受けた切削業者は提携先に切削以外の加工を流します。
しかし、一匹狼で提携先を数社程度しか持たない工場も多くありますので、そういった業者に依頼してしまうと、見積もりが高くなってしまうだけではなく、精度・品質にも大きな影響が出てしまいます。
海外に工場を持つ製造業にステンレス加工の量産を依頼するのも安くする秘訣
ステンレスは国産・輸入と両方ありますが、やはり安いのは輸入品です。さらに、アジアに工場を持っている製造業に依頼すれば、現地水準の安い人件費で加工することができるので、日本で製作するよりも大分安くステンレス加工を量産することができます。これであれば、上記のように図面から完成品まで依頼する必要もなく、切削のみの依頼でもコストを抑えることができます。
ただし、近年多くの企業が「中国工場は避けたい」という要望があります。どんなに安くても不良率が高かったり、納期を守ってくれない、規格と異なるといったトラブルが絶えないようです。現地に日本人が駐在していて、ステンレス量産加工の都度加工チェックをしてくれるのであればいいのですが、そのような工場もそれほど多くはありません。
フィリールでは中国工場の量産品質に自信があります
フィリールは日本、中国、ベトナムの3か国に金属加工の拠点を持っており、中国では主に量産型の部品生産&調達を請け負っております。1万平方メートルという広大な敷地に建つ金属加工工場は、旋盤やフライス、測定器含めて550台以上の工作機械を整備しています。
1万個から10万個単位の部品の生産及び調達の際は、弊社ではあえて中国工場を推奨しております。
東南アジア工場の現状。中国には勝てない?
弊社が拠点を持っているベトナムなど、東南アジアの一部の国では中国よりも人件費が安いため、切削加工などはこちらで請け負うことが多いです。しかし、東南アジア諸国であっても、結局金属素材のほとんどは中国から輸入することになりますので、多少人件費が高くとも中国工場で加工した方が結果的に安く済むこともあります。
これは加工工程や加工技術、使う工作機械や金属素材の種類によって異なるので、ご依頼をいただいたあとでベストな提案をさせていただきます。
中国は品質に問題があるというけれど……
中国は品質に問題があると言いますが、これは日本人技術者がしっかりと指導していなく、またレギュレーションがないことに起因します。単純な品質や技術者のスキルは、まだまだ東南アジアより中国が上です。
そこで弊社では、ベトナムの切削工場にて日本人技術者がしっかりと指導、レギュレーションを作り、日本メーカーの工作機械を整備することによって、技術差を最小限に抑えるよう努めています。
大阪で業者を探すならフィリールへ。ステンレス加工の旋盤量産に対応!
大阪に拠点を置く金属加工業者のフィリールは、古くからステンレスの旋盤量産に自信があります。その道数十年のベテランの技術者が在籍しているので、細かなご要望をお聞きすることができるほか、旋盤を使う切削以外の加工も請け負うことができるので、曲げや溶接など複数の加工をトータルでフィリールにお任せいただくことができます。
あちらこちらに見積もりを出す必要がなく、フィリールで完成品を納品させていただくことができるのが強みとなります。
また、弊社フィリールは本社は大阪ですが、全国の個人・企業様からのご依頼を承っております。近郊であれば直接お打ち合わせをすることができますし、遠方地域でも図面やサンプルを送っていただくことで、変わりのない高品質な旋盤加工をすることができます。最新のNC旋盤加工機により量産にも対応しておりますので、小ロットから大ロットまでお問合せいただけます。
低コストでステンレス加工の量産が可能。フィリールはベトナム工場も稼働中!
また、フィリールではベトナムでも切削加工工場を操業しております。より安い中国ではなく、あえて品質を重視してベトナムでの加工に力を入れております。
ベトナムには日本製の最新の工作機械を用意しておりますし、旋盤加工以外の工程も現地の提携工場と一緒に請け負うことができます。加工した製品は日本に持ち込まれたのち、日本人技術者がしっかりと寸法チェックを行います。難削材のステンレスであっても、日本品質の量産が可能となります。
日本と海外工場。品質に差はある?
海外工場は上述したように、確かに日本で加工を請け負うよりも遥かに価格は安くなります。ただし、弊社フィリールのベトナム工場も含め、やはり品質は日本の方が上となります。「ステンレス加工は大丈夫だけど、真鍮加工は不良率が上がる」といったクセや傾向が少なからずあるものです。
そのため、定番のステンレス加工であっても、高い精度や特殊な切削を求めるのであれば、弊社では日本本社工場での加工を提案させていただきます。
また、もし別の業者で「海外工場でも変わらずの高精度加工を請け負えます」というところに依頼した場合は、最悪何度納品されても規格に合わなかったり、納期が大幅に遅れる、追加料金を請求される、なんてことがあるかもしれません。
ステンレスの加工業者は完成後の品質には大きな違いがある
今回ご紹介したように、ステンレスの加工業者はたくさんあるものの、旋盤加工をする場所や金属素材の調達方法によって、見積金額に大きな差が生じます。また、難削材として旋盤含む切削加工が難しいステンレス加工は、技術者の知識とこれまでの経験がものをいう世界となります。業者選びは慎重に行うとともに、複数の業者を候補にあげたあとは、担当者と折衝をして信頼できる工場かを念入りに調査するといいでしょう。