POM樹脂の耐熱温度と特性を徹底解説|エンジニアが知っておきたい活用ポイント
POM樹脂(ポリアセタール)は、機械部品や産業機械に幅広く使用されているエンジニアリングプラスチックの一つです。
高い強度、耐摩耗性、優れた寸法安定性を備えており、金属代替材料としても注目されています。
本記事では「POM樹脂の耐熱温度」や「特性」を中心に、用途や他素材との比較を含めて徹底解説します。
POM樹脂とは?
POM樹脂(Polyoxymethylene, ポリアセタール)は、結晶性の熱可塑性樹脂であり、別名「アセタール樹脂」とも呼ばれます。
金属のような強度と剛性を持ちながら軽量であるため、自動車部品、電子機器、精密機械などに利用されています。
基本的な特徴
– 高強度かつ高剛性
– 優れた耐摩耗性・摺動特性
– 高い耐薬品性
– 良好な寸法安定性
– 優れた加工性(切削・射出成形が容易)
POM樹脂の耐熱温度
POM樹脂の耐熱温度は一般的に連続使用温度85〜100℃程度とされ、短時間であれば120℃前後まで使用可能です。
ただし、耐熱性は種類(ホモポリマー型とコポリマー型)や添加剤の有無によって異なります。
ホモポリマー型とコポリマー型の耐熱温度
種類 | 連続使用温度 | 短時間使用温度 | 特徴 |
---|---|---|---|
ホモポリマー型 | 85〜95℃ | 120℃ | 剛性が高いが耐薬品性はやや劣る |
コポリマー型 | 90〜100℃ | 120℃ | 耐薬品性に優れ、加水分解に強い |
POM樹脂の機械的特性
機械的特性の高さが、POM樹脂がエンジニアリングプラスチックとして広く利用される理由です。
以下に代表的な数値を示します。
代表的な物性値
物性 | 数値の目安 | 特徴 |
---|---|---|
引張強さ | 60〜70 MPa | 金属に近い高強度 |
曲げ弾性率 | 2500〜3000 MPa | 高い剛性と変形しにくさ |
耐摩耗性 | 非常に高い | 摺動部品に最適 |
吸水率 | 0.2〜0.5% | 寸法安定性が高い |
POM樹脂の用途
優れた特性を持つPOM樹脂は、以下のような分野で使用されています。
- 自動車部品(ギア、ベアリング、燃料系部品)
- 電子・電気部品(コネクタ、スイッチ部品)
- 精密機械部品(カム、スプリング)
- 産業機械(搬送ローラー、摺動部品)
他のエンジニアリングプラスチックとの比較については、金属・樹脂素材の解説コラム でも紹介しています。
よくある質問(FAQ)
- POM樹脂の耐熱温度はどれくらいですか?
- POM樹脂の耐熱温度は連続使用で85〜100℃程度、短時間で120℃程度まで可能です。
ただしホモポリマー型とコポリマー型で耐熱性や耐薬品性が異なるため、用途に応じて適切な選択が必要です。
詳しくは本文の耐熱温度表をご覧ください。 - POM樹脂は金属部品の代替として使えますか?
- はい、POM樹脂は高強度・高剛性で耐摩耗性にも優れているため、ギアや摺動部品などで金属代替としてよく利用されます。
ただし、耐熱性や耐候性に限界があるため、高温環境や紫外線下では別の素材を検討する必要があります。 - POM樹脂とナイロン(PA樹脂)はどう違いますか?
- POMは寸法安定性と摺動特性に優れ、精密機械部品に向いています。一方ナイロンは耐衝撃性や耐熱性に優れており、自動車や機械部品で多用されます。
それぞれの違いはエンジニアリングプラスチック特性比較で詳しく紹介しています。
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