半導体パーツの精密加工業者を探している調達担当者は、どのような基準で加工業者を探していますか。半導体製造装置は特に精度が必要なので、信頼できる工場選びが必要不可欠です。
そこで、ここでは半導体パーツの精密加工をする場合の業者の選び方や交渉・依頼方法について詳しくご紹介します。
目次
精密機器・電子部品・半導体のそれぞれの違いとは
製造業に依頼する前の予備知識として、「精密機器と電子部品、半導体は何が違うの?」という質問にお答えします。
業界人によって解釈は多少異なる場合がありますが、一般的に精密機器も半導体も電子部品には変わりありません。精密機器とは、高精度に加工された小さな電子部品の集合体であり、一般的には「メカ」と呼ばれるものが該当します。
そして、半導体は電子部品や精密機器の中でも、メインプログラムや数値制御・コントロールなどを司る最重要の部分となります。ちなみに、ICは集積回路を指し、トランジスタやコンデンサなどの回路を1つの電子部品にまとめたもので、半導体部品の1つと見なされています。
「産業の米」と呼ばれる半導体。世界市場70兆円以上
半導体は近年のハイテク産業を司る電子パーツとなり、廃れることがない需要のため業界では「産業の米」と呼ばれています。
電子部品全体の世界市場規模はおよそ70兆円とみなされ、その内半導体は40兆円を占めると言われています。半導体の需要はあらゆる電化製品にあります。2000年に以前はラジオやオーディオ、家電機器が主でしたが、現在はパソコン、スマホ、EVカーといったハイテク機器で多数の半導体が使われています。
近代はテスラをはじめ電気自動車で半導体需要が高騰
特に近代注目されているのがテスラ社をはじめとする電気自動車です。一般的な家電やパソコン、スマホに搭載される電子パーツは数千と言われていますが、昨今は電気効率の高い半導体パーツの普及に伴い、構成部品は減少しています。一方で、電気自動車は1万個以上の電子部品で構成されており、半導体需要を押し上げている大きな要因の1つとなっています。
そのため、2020年の新型コロナ以降は世界の工場としての中国や半導体先進国の台湾のロックダウンにより生産がストップし、世界的な半導体不足に陥りました。
2022年になると、世界の物価インフレと日本の円安、ウクライナ紛争により物流価格が高騰。今度は半導体の仕入れ価格の値上げが深刻となっています。
半導体製造装置のパーツ加工は半導体より高い精度が必要って本当?
製造業に半導体パーツを依頼する企業の多くは、半導体製造装置のパーツの加工・製造依頼です。ここで調達担当者に留意してほしいことが「半導体のような精密加工が必要なパーツ加工は、“母性原理”が大切となる」ことです。
母性原理とは、簡単に言えば、半導体製造装置を使って精度0.01mmの半導体を製造する場合、母体となる半導体製造装置は0.01mmよりさらに精度が高くなければ作れない」というものです。
そのため、半導体製造装置のパーツ加工を依頼希望の場合は、その装置でどのような精度の半導体を作りたいのかによって、求められる精度が変わることを覚えておくといいでしょう。
半導体パーツの加工を依頼する業者の選び方
半導体パーツの加工を製造業社に依頼する場合は、下記を指標に工場探しをしてみてはいかがでしょうか。すべての条件を満たしている業者に依頼すれば、大きな失敗はないはずです。
1.半導体製造装置の部品の製作実績が豊富
半導体のパーツ加工はいずれも高い精度が必要であり、公差を遵守できなければ、半導体1つの不備で製品が正常に作動しないこともよくあります。
上記でご紹介した母性原理に基づいて、半導体製造装置のパーツ加工は、一般的な半導体よりも高い精度が求められるため、半導体製造装置の精密加工経験が豊富な業者であれば、よほど特殊な半導体出ない限り、高い精度を維持した加工・量産に成功することができるはずです。
2.精密加工が必要な半導体パーツは切削加工業者に依頼する
高い精度と厳しい公差が要求される半導体パーツは、量産に特化した射出成形では加工を実現することは極めて厳しく、原則は例え量産であっても切削加工を用いることになります。
そのため、精密加工を依頼する際は、試作業者や金属加工全般を請け負う業者も多くありますが、必ず切削専門業者に依頼するようにしてください。
また、近年の工作機械は目まぐるしいスピードで進歩しており、5軸加工機や複合加工機などの登場により、本来量産が苦手な切削加工においても、大ロットの製作が短期間で可能となりました。量産を求めている企業は、これらの工作機械を揃えている業者を探すのがいいでしょう。
3.zoomやビジネスチャットツールなど“いまどき”のオンラインツールで打ち合わせできる
製造業の中には直接打ち合わせができることが受注の条件であったり、遠方からの依頼はEmailや電話のやりとりが基本とする工場もまだまだ多くいます。
しかし、昨今は良くも悪くも新型コロナがビジネススタイルを大きく変え、企業の多くは取引先とzoomのようなオンライン会議システムを用いて打ち合わせをし、普段のやり取りも効率化を図るため、チャットワークのようなビジネスチャットツールを用いるようになりました。
製造業も顧客の需要に応えるためDX化が迫られていますが、業者の中には昔ながらのやり取りしか知らないところも少なくありません。
半導体パーツの精密加工の依頼時に大切なこと
半導体パーツの精密加工を依頼する際、まずは見積りを提出してもらうことになりますが、その際にできるだけ具体的な設計図・図面や使用用途、製品画像などを添付するようにしてください。半導体パーツのような精密加工部品は、業者によって切削工程が異なりますし、公差や数量によって見積り金額も大きく変わります。
アバウトな図面や情報だけでは誤解を生みやすく、本見積のときに「最初の金額と全然違う」というトラブルも発生しがちで、企業と業者の双方で不信感が生まれてしまいます。
弊社フィリールでは長年半導体製造装置のパーツの精密加工を請け負っております。短納期・低予算・量産が可能なので、是非一度ご相談ください。