金属加工において、昨今は部品の調達や加工工場を海外のアジアに移す企業も増えてきました。弊社フィリールも東南アジアのベトナムに金属加工工場を置き、本社である大阪工場と併せて2拠点で加工を請け負っております。
お客様の中には、部品を海外調達していると聞いて、「品質の方は大丈夫?」と訝しく思う方もいらっしゃいます。
そこで、今回は金属加工において加工部品を海外調達するメリットとデメリット、及び弊社が部品加工を請け負う際の決まりごとをご説明いたします。
目次
部品を海外調達するデメリットは2つ
部品を海外調達するにあたって、日本で調達するのと比較した際、メーカー側(依頼主)がデメリットと感じられるのは主に2つ挙げられます。
海外調達のデメリット① 納期が遅くなる
1つ目は「輸送日数」です。部品を海外調達すると、加工にかかる日数自体はそれほど大きな差は生まれませんが、加工後は部品を飛行機か船で日本に送ることになりますので、どうしても移動には数日を要します。
船便の場合は1~2週間ほどかかる場合もありますし、近年のコロナの影響で関税職員が減っている国においては、1か月以上待たされることもあります。うまく海外から船を出すことができても、今度は日本の港でスムーズに手続きが終えられないことも考えられます。
そのため、「この部品を100個2週間後に納品してほしい」のような短納期での納品は、海外調達の際は難しくなる場合があります。
「納期は比較的ゆるくて大丈夫だから、とにかくコストを抑えたい」というメーカーにとっては、部品の海外調達は非常にメリットに感じられることでしょう。
2022年以降はさらに海外調達の輸送コストが上がる
2022年に入ると、新型コロナの弱毒化が進み、欧米を中心に経済は回復基調となりました。しかし、急激な需要の回復に伴い、①コンテナの不足、②輸送船の不足、が懸念されています。実際に輸送コストは以前と比べると大幅に上がっていますし、この問題は2023年まで続くとも言われています。
もちろん「日本工場で加工した方が安くなるのでは」というわけにはいきません。金属素材の多くは中国から輸入しているので、海外調達だけではなく日本国内の加工においても、比例してコストは上がってしまいます。コストがまだ上がっていない工場が多いのは、おそらく国内在庫がまだ尽きていないからでしょう。
海外調達のデメリット② 品質の問題
2つ目は「品質」です。加工された部品は日本人技術者が作ったものと比べると粗が目立つことがあります。これは日本人技術者との経験の差や、使っている加工機械の精度が経年劣化で低下していることが主な原因となります。ただし、アジアに関しては日本の加工機メーカーが多く進出しており、弊社フィリールでは最新の日本製メーカーを導入しておりますのでご心配には及びません。
特に中国アレルギーを持っているメーカーは多く、中国で部品を海外調達する際によく見られるトラブルが「中国人の作業員が、こちらが指示をした加工工程から外れる」というものが挙げられます。
加工後の見た目や公差だけは指示通りなので、納品されて、実際規格に当てはめてみるまでは分かりません。しかし、なぜか規格に合わないということが多々あります。
「結果が良ければすべてOK」と考える中国と、「過程を経て結果がある」と考える日本の間では、部品加工において根本的な技術力差が生まれるのが現状です。
フィリールの海外調達の現状
フィリールでは海外工場で部品を調達する際、品質に関わる部分に関しては、ベトナム工場では上述したように最新の日本メーカーの金属加工機を導入していますが、それでも技術者によって得手不得手の加工があるのも事実です。
そこで、弊社では品質を落とさないように、日本に送られた加工部品は一度本社の大阪工場に持ち込み、日本人技術者によって加工チェックを行います。ここで日本の品質基準や規格に満たしていない場合は、大阪工場にて日本人技術者が再度加工をしたのち、完全な状態でお客様に納品しております。
部品を海外調達するメリットは大きなコスト削減
部品を海外調達する最大のメリットは「コストの削減」です。
アジアは日本と比べると人件費や部品の調達にかかる費用が非常に安いので、それはお客様への見積もりにも反映させることができます。
一昔前は中国が海外工場の一強でしたが、そのときは日本の見積もりと比べて半額以下を提示する金属加工業も多くあったほどです。しかし、現在は中国の人件費が高騰してきたのをうけて、多くの企業が他の東南アジアに工場を移しています。
弊社フィリールでは、金属部品の生産は中国を利用していますが、大阪工場とベトナム工場で切削加工は行っており、また、日本、中国、ベトナム間で海外調達と加工を融通し合うことができるので、最大限お客様の予算の範囲内で加工をすることが可能です。
部品加工は日本と海外調達のどちらを選択すべきか
弊社フィリールでは、海外調達を積極的にすすめているわけではありません。上記でご紹介したように、海外調達ではメリットとデメリットが必ずあるからです。
ただし、お客様が部品加工を依頼する上で最も重要視する「納期」と「予算」を天秤にかけたとき、どちらがより重要視されるかによって、弊社が提案する材料が変わってくることもある、ということはご理解ください。
もちろん部品加工を海外調達する際は、了承をいただきますし、商談時に海外調達のメリットとデメリットもお話させていただきます。
海外調達には工場側の得意分野と苦手分野もある
例えば「うちの海外工場は真鍮の部品加工が苦手」、「レーザー加工が海外の自社工場や提携している工場含めて得意とするところがない」などと、特定分野で苦手、あるいは得意とする分野が変わってくるのも、実は海外調達における”あるある”の1つなのです。
こればかりは依頼する製造業によって異なるので、契約する前段階で「この部品は海外調達できるか」と正確な図面を見せて、工場側に確認させるのがおすすめです。
また、想像に容易いように、海外工場で加工をする際は、「納期順守」が非常に懸念されます。加工速度や輸送日数を含めて、新型コロナ以降は不透明さが一層増しているので、納期に余裕を持った上でご相談ください。
金属部品の量産・生産ならば中国工場も選択肢に
弊社フィリールの代表は、中国にある部品生産工場の取締役副社長を兼任しています。1万平方メートル以上の敷地面積を持ち、既製品部品はもちろんオーダーメイドの生産も可能。量産では10万個以上も受注が可能となり、低コスト短納期で請け負わせていただきます。
金属素材・部品価格及び供給の安定化
昨今は新型コロナやロシアウクライナ情勢を鑑みて、一部金属素材の供給が滞り、また輸送費のコストが大幅に高騰している背景があります。特に商社から仕入れている日本の販売店から金属素材を調達している工場は、コストの値上げをせざるを得ない状況に陥っています。
一方で弊社フィリールは、上述したようにベトナム及び中国に自社工場を置いており、現地工場から直接金属素材を輸入することができるので、年間を通じて仕入れ価格は一定ですし、供給量も安定しています。仮に素材原価が上がってしまっても、商社を利用しない分、他社よりもかなり低価格で提供することができる自信があります。
部品の金属加工をお考えのメーカーはまずはご相談を
「予算が限られているから安くしてほしいけど、品質もしっかりとしてほしい」という方は、一度弊社にお問合せください。
最適な提案をさせていただきます。