金属加工の工程の中でも製品としての精度や完成度が大きく関わってくる「切削加工」。金属加工業者の多くが扱っている加工業務ですが、どの金属素材でも加工することができる、と言うわけではありません。金属素材には「難削材」と呼ばれる技術者泣かせの金属があり、切削工場によって、引き受けることができる金属とできないものがあります。
大阪に本社を置くフィリールでは、あらゆる金属の難削材や複雑な切削も受注しており、依頼主の理想の加工を実現することが可能となります。
目次
金属加工における難削材とは
金属加工でいう難削材には明確な定義というものはありませんが、一般的には硬度が高かったり、発火性を伴ったり、熱伝導率が低い素材を指します。
工場によって整備している工作機械も違いますし、技術者の経験レベルも異なりますので、厳密には工場によって難削材がどんな金属を指すのかはまちまちとなります。
「うちはチタンの加工は苦手だな」
「マグネシウムは唯一断っている難削材だね」
「ステンレスは需要があるから受けているけど、工具が傷つくから本当は受けたくない」
といった声もよく聞きます。
金属加工で定番となる難削材と特性
・熱伝導率が低い
チタン、ステンレス
・加工硬化
高マンガン鋼、ステンレス
・延性がある
ニッケル・銅・アルミ・鉄(純)
・熱膨張する
ステンレス、オ-ステナイト系
・高抗張力
ダイス鋼
・工具との癒着がある
チタン(純&合金)、ステンレス
難削材の「インコネル」の加工注意点
上述したように、難削材と言う定義はあくまでも「加工がしにくい」だけなので、工場によって難削材に指定している金属素材は異なります。しかし、金属素材のうち、「インコネル」はほぼすべての工場が共通して難削材と認める素材となり、切削加工には細心の注意が必要です。
インコネルとはニッケル、鉄、クロム、炭素を含んだ合金素材です。超耐熱及び腐食耐性を持っているため、航空産業や原子力&火力発電所など高度な産業にて利用されている素材となります。インコネルを切削しようとすると、特殊表面処理を施した工具であっても、切削抵抗が高いため、力負けして折れてしまいます。また、仕上げ面も粗くなりがちですが、表面処理も難易度が非常に高いことで知られています。
上記のことから、難削材のインコネルの切削加工ができる業者は、加工技術を社内秘にしている傾向にあるため、加工データが集まらなく、閉鎖的な要因となり切削技術がなかなか進歩しないことが問題点として挙げられます。
難削材の金属加工における注意点
難削材の金属加工及び切削をする際は、原則下記の点に注意しなければなりません。下記のどれか1つでも整備を怠ってしまうと、器具の寿命が短くなるだけではなく、精度も大きく低下してしまい、不良率が各段に上がってしまうことが懸念されます。
難削材に合った特殊な工具を使用
難削材を切削加工する際は、理想の加工を実現するために、工具も専用のものを使います。専用工具は、難削材に適応した特殊な表面処理が施されているため、摩耗を最小限に押さえることができるだけではなく、高精度を維持した切削加工が可能となります。
難削材の加工に最適な速度の設定
難削材を切削加工する際は、加工スピードにも気を配らなければなりません。難削材によっては速度を遅くしなければならない素材も多いですが、あまりに遅すぎると非切削物が振れてしまったり、精度が低下してしまう懸念があります。こればかりは知識だけではどうすることもできなく、対象の難削材を何十、何百回と繰り返し切削した実務経験がものをいいます。
大阪のフィリールも難削材の加工を請け負っております
大阪に本社をおくフィリールでは、最新の工作機械を用意しておりますので、チタン、マグネシウム、アルミ、インコネルといった需要の高い難削材の切削も請け負っております。大阪には数千の町工場が点在していますが、あらゆる難削材の加工を受注している町工場は実はそれほど多くはありません。
難削材の加工を町工場レベルで請け負うことが難しい理由は幾つかありますが、取り分け「工具が壊れてしまう」ことと、「依頼主の希望の精度を叶えることができない」ことが主となります。
町工場としては致命的であり、数千万円する工作機械を傷めることは避けなければなりませんので、請け負ったはいいものの、利益度外視で協力工場に外注することもあるほどです。
難削材の加工。工具の摩耗と精度の関係
難削材を工作機械にて切削すると、工具の摩耗、消耗が通常よりも激しくなります。チッピングという工具の先が徐々に欠けてしまう現象もしばしば見られ、それらが加工精度を低くしてしまいます。
加工精度が低くなると、依頼主の要望となる加工の許容範囲内である寸法公差をはみ出してしまい、結果不良率が上がってしまいます。
大阪のフィリールは他社で断れる難削材の加工も可能です
大阪に本社を置くフィリールは、他社で断られるような難削材や切削加工も請け負わせていただくことができます。
切削は弊社の大阪工場、もしくは海外のベトナム工場で行います。日本人の経験豊富な技術者が最新工作機械を使って加工をするので、ナノメートル単位の精密加工での切削が可能となります。
難削材の切削加工も日本とベトナムで受注できる強み
海外工場と言うと、一昔前までは「日本の加工技術よりも劣るためおすすめしない」と言われていました。確かに海外工場の場合は、難削材や加工方法によっては得手不得手があり、一部加工に関しては不良率が高くなる懸念があります。
しかし、年々アジアの工場の切削技術も向上しており、日本メーカーの工作機械を設備、日本人技術者が加工マニュアルを作成・指導することによって、大幅な技術向上に成功しております。
そのため、弊社フィリールでは、依頼主が要望する際、コストダウン化としてベトナム工場での難削材の加工を提案させていただくこともあります。もちろん「日本国内の工場じゃなきゃ依頼できない」という依頼主も多々いますので、その際は大阪工場にて切削します。