鉄の加工を町工場に依頼する際、どんなことに気を付けなければならないのでしょうか。鉄は非常にありふれた加工素材なので、どこの製造業者も積極的に依頼を引き受けていますし、見積もりも安く設定することができます。しかし、鉄加工を依頼する際の注意点を知らないまま、単に料金の一番安い業者に依頼してしまうと、トラブルの元となることも。
そこで、今回は鉄加工を依頼したい個人・企業向けに、業者に問い合わせる際の確認すべき点をご紹介します。
鉄といっても種類はいろいろ。加工にも違いがある
鉄と一概に言っても、純鉄は珍しく、そのほとんどは鉄と別の金属素材を混ぜ合わせた合金となります。身近なところで言えば、炭素と鉄の鋼や、鉄とクロムのステンレスなど。いずれも主成分が鉄であることには変わりませんが、合金する素材の含有量によって、性質が大きく変わってきます。
例えば鋼と言えば非常に硬いイメージがありますが、その一方で炭素量が多くなると折れやすくなる、といった性質もあります。また、錆びや強度がどのくらい強い必要があるのか、曲げや接合は必要とするのかによっても種類を検討しなければなりません。上記のように、一概に鉄と言っても、基本的に鉄加工をする際の素材は、すべてが合金となり、目的に合わせて種類を決めるので、依頼主である企業と製造業は綿密な打ち合わせが必要となります。
鉄の加工を業者に依頼する前の確認・チェック事項
製造業者にすべてを丸投げするのも一つの手ですが、最低限自社で確認しておきたい事項も幾つかあります。鉄加工を依頼する場合は、上述したように鉄加工の目的と使用する部品や製品によって、合金素材が大きく異なります。
・熱伝導率
熱伝導率が悪いと、鉄の内部で熱が逃げませんので、最悪膨張してしまいます。ボルトなど小さな部品は要注意。
・成形と切削どちらの加工が重要か
例えばステンレスは曲げ加工は得意ですが、切削加工は鉄(SS400)の方がやりやすいです。
・防錆処理
簡単に言えば錆び対策をするかしないか。錆び対策をする場合は納期が長くなります。
鉄加工かステンレス加工かは実は大きな違い
仮にステンレス加工を元から依頼するつもり、という企業があれば、今一度注意が必要です。ステンレスも鉄の一種ですが、一般的な鉄、つまり鋼(SS400)とは加工の難易度や仕入れ単価が異なります。そのため、鋼とステンレスを混同して相見積もりをとった場合、製造業者によって価格差が2倍も3倍も違う、なんてことも普通にあります。
鉄加工の相見積もりをとるさいの注意点
鉄加工問わず、製造業者に金属加工を依頼する場合は、必ず複数社から相見積もりをとるようにしましょう。上述したように、同じ鉄素材でも、目的と用途、必要とする加工方法によって、料金は何倍も変わってきます。そのため、まずは親身になってくれる製造業者を探し、自社で用意した図面を共有して、どのような素材と鉄加工方法が最も適しているのかを打ち合わせしてください。
その上で相見積もりをとり、品質、サービス、価格、納期ともに妥当と思える業者に依頼するといいでしょう。