メーカー含む企業の調達担当者にとって、金属加工業者の選択は非常に重要です。ナノ単位の精密さが要求される半導体の製造装置や部品は、製品の直接の品質に関わるだけではなく、使用者の安全性にも関係するため、金属加工業者の誠実な態度と対応が求められます。
そこで、今回は金属加工業者の選び方とポイントをご紹介します。
目次
最初の見積もりに真摯になってくれる業者を選ぼう
昨今は製造業のマッチングサイトも増えてきたため、一括見積システムなどを利用して何十社の金属加工業者から同時に見積もりを取って相見積もりにかける企業も増えてきました。
そのため、いざ企業から問い合わせがあっても、「どうせ相見積もりなんでしょ」と不愛想な態度をとったり、見積もりを作成するのに必要な情報を聞かずに適当に値段を決める金属加工業者もいるようです。
その場合、仮に当加工業者と取引するに至った場合、「この加工は当初の見積もりではできない」と理不尽な値上げを要求される可能性もあります。
金属加工業者のランキングやまとめサイトにも騙されないで
インターネットで調べてみると、金属加工業者のランキングサイトやまとめサイトも多数見受けられます。しかし、これらを運営する会社の多くは、実際の業者の概要など知らず、SEO対策のために基準なく業者を集めて紹介しているだけに過ぎません。
また、金属加工専門の情報サイトであっても、結局はそのWEBサイトに広告料を支払っている業者がランキング上位に表示され、大々的におすすめと紹介されているものです。
そのため、金属加工業界のサイトで公開しているランキングはあてにならないと考えてください。
金属加工業者の選び方は大手メーカーにするべき?
金属加工業者を選ぶ際、担当者によっては「とりあえず金属加工の大手・有名メーカーを選んでおけばいいのでは?」と思う人もいるかもしれません。
確かに大手メーカーであれば、マニュアルに沿った対応が期待できるので、契約上の大きなトラブルは少ないかもしれません。
しかし、大手金属加工業者は多数のメーカーの下請けでもあるため、常に工作機械はフル稼働しているので、新規で依頼すると、相場よりも大分割高の見積もりで依頼しなければならないかもしれません。
大手メーカーの場合は値段や納期の交渉がなかなかできないので、臨機応変な対応や予算納期に関して融通してほしい場合は向かないと言えます。
「東京」や「大阪」といった大都市圏の金属加工業者を選ぶのがおすすめの理由
金属加工業者を選ぶにあたっての基準の1つに、「東京や大阪のような大都市圏に所在を置く業者に依頼する」方法があります。
この理由は幾つかありますが、製造業の依頼主となるメーカーは、やはり東京や大阪といった都市部に本社を置いているため、直接商談をして円滑に交渉することを考えると、製造業者も同じ都市圏に所在を置くべきと言えます。
また、東京や大阪といった物価や賃料が高い都市に製造工場を構えることができるということは、メガバンクや都市銀行から融資を受けられているということなので、経営状態においても一定の信頼ができるでしょう。
特に名古屋や大阪といった、昔からものづくり都市として栄えている都市部に所在を置いている業者であれば、提携先の工場も多くあるはずなので、切削以外にもあらゆる金属加工の工程を一気通貫で引き付けることができるでしょう。
金属加工のオーダーメイドを個人持ち込み依頼したいときの業者の選び方
よほどの大手でもない限り、個人の持ち込みはどの工場も請け負っているはずです。もし断られるとしたら、数百円の簡単な加工であったり、すぐに使える工作機械が空いていない理由が考えられます。
昨今はDIYを趣味にする人も増えてきましたし、中には製造業の技術者も驚くほど凝ったものを自分で加工している人も見かけます。
そんな人の中で、「個人だけどオーダーメイドの加工を依頼したい」という場合は、一般の企業と同じ手順を踏んで工場に問い合わせてください。窓口担当者はいない可能性もあるので、できれば持ち込みではなく、ホームページから問い合わせるのがおすすめです。
また、問い合わせをする際は、使用したい金属素材の種類や寸法などを記した具体的な図面も添付すると、より正確な見積書を出しやすいです。
基本的に「加工費用」というのは個人だからといって企業よりも高くすることはありませんが、その他にも「運搬費」や「梱包費」、「事務手数料」なども発生しますし、切削工場に問い合わせをした場合は、表面処理や溶接は提携業者がやることになるので、その分の手数料も上乗せされます。
そのため、1個2個の小ロットでは値引きもできないため、想定していたよりも高い見積もりである可能性も想定しておくといいでしょう。
見積もり作成に当たって、事前の相談もしっかりと聞いてくれる加工業者を選ぶ
見積もり作成に当たっては、金属加工業者のホームページの問い合わせから図面や設計図を添付することによって、ある程度正確な料金を出すことができます。
企業にとっては正式に依頼する前に、当金属加工業者のことを少しでも知っておきたいところですし、製品や加工、設備に関して把握しておかなければならないこともあるでしょう。しかし、金属加工業者の中には昔ながらの職人気質の人も少なくないため、こちらの質問に対しても明確に答えてくれなかったり、ビジネストーキング・交渉ができないようなところも実際存在します。
単発の案件であればまだしも、基本的にメーカーと製造業は二人三脚でものづくりをしなければなりませんので、例え技術力が高く最新設備を揃えていたとしても、接客対応が悪ければ気持ちのいい取引はできません。
フィリールは事前相談も誠実に対応。見積もりは迅速に提出します
弊社フィリールでは見積もりはもちろん、お問合せいただければ事前相談も受け付けております。「見積りを依頼する前に、いろいろと聞きたいことがある」という場合は、お問い合わせ欄、もしくは直接お電話いただければ、技術者が真摯に対応致します。
メーカー・企業にとっても金属加工は決して安い依頼ではありませんし、企業と業者が双方信頼できない状態でものづくりをすると、「予定していた材質と違う」、「納期が大幅に遅れているのに、何の責任も取ってくれない」といったトラブルもあるかもしれません。
まずは金属加工業者の選び方を覚え、暗に見積もりが安いからという理由で業者を選ばないようにするのがおすすめです。