メーカー担当者がステンレスの加工を切削工場に依頼するときは、どのような基準で工場を探していますか。ステンレスは非常に需要が高い金属素材でありながら、合金の比率によって特質が大きく変わる難しい素材でもあります。
単に相見積もりをとって、一番安い工場に依頼すると、後ほど大きなトラブルが発生することも珍しくありません。
そこで、今回はメーカー担当者に読んでほしい、ステンレスの加工工場探しのさいに押さえてほしいポイントをご紹介します。
ステンレス加工の契約をする前に、設計者と直接打ち合わせをする
製品の良し悪しは設計者の力量によって大きく左右されるのはご存知でしょうか。
ステンレスは加工が難しいと言われておりますが、それ以前の問題として、加工に必要工作機械、治具、工程、素材の種類、公差などを決めるのは設計者となり、技術者や工員は図面に沿ってステンレスの加工をするだけです。
設計にそもそもミスがあり、それにメーカー側も気づかなければ、不良品を量産してしまうだけです。
そうならないためにも、設計者や工場担当者とは必ず直接打ち合わせをして、相手の人柄を確かめ、信頼できるか否かを考えてください。
ステンレス加工の実績やサンプルを教えてもらう
「弊社はステンレス加工の実績が豊富です」という言葉は度の加工工場でもできます。ステンレスは金属加工において最も需要の高い素材の一つですし、加工技術もほとんど確立されているので、ステンレスができません、という工場はありません。
ここで重要なのは、「実際に加工したサンプルを見せてもらい、具体的な実績を示してもらう」ことです。メーカーが取引先の場合は、社名を伏せることも普通ですが、重要なのは実績です。
もしステンレス加工の経験はたくさんあっても、1000個単位の量産の実績がなければ、必ず大小のトラブルが途中で発生するものです。
原因不明の不良品は製品の納入期限が大きく遅れる要因となりますので、メーカー担当者は依頼する加工品のサイズや数量に似通った加工実績のある工場を探すようにしましょう。
納期を明確に伝えてくれる加工工場を探す
ステンレス加工は治具が欠損したり、表面が傷ついてしまったり、マルテンサイト化してしまうトラブルがあります。
技術者がステンレスの加工知識が不十分の場合、加工時間やコストが余計にかかってしまうだけではなく、納期の遅延も発生します。
場合によっては現場の技術者が設計図から外れた工程で切削をしてしまったため、目に見えない部分で不良となってしまうこともあります。
メーカー側に納期を明確に伝えてくれる加工工場は、往々にしてステンレス加工に対して十分な知識と見解があり、加工を依頼された時点で、これまでの実績から具体的な納期をイメージできるものです。