金属や樹脂の機械加工・機械部品の見積もりを取りたい場合、幾つかのポイントを覚えることで他社よりも安く、スムーズな取引が可能です。
ここでは金属加工の見積もり方法や安くする留意点を詳しく解説します。
目次
金属・樹脂の機械加工・機械部品の見積もりを取る際の基礎知識
金属・樹脂の機械加工・機械部品の見積りを取る際は、まずは製作所がどのような手順で依頼を受けた図面に対して見積り料金を算出しているのかを基礎知識レベルで知る必要があります。
機械加工・機械部品の見積もりは一般的に下記項目を総合的に鑑みて価格を算出します。
- 金属・樹脂の材料費(調達にかかる実費含む)
- 運搬費
- 梱包費
- 事務手数料(書類作成費含む)
- 人件費
- 機械チャージ
- 加工費用
などです。切削の場合は不要ですが、射出成型だと初期費用で金型製作費用が30~100万円ほど発生します。
機械加工・機械部品の見積もり内容の注意点
上記で紹介した金属・樹脂の機械加工・機械部品の見積り項目のうち、他社と相見積もりをかけたさいに料金差が生まれやすいのが「金属・樹脂の材料費」と「機械チャージ」・「加工費用」です。
金属・樹脂の材料費
金属も樹脂も中国やメキシコといった生産国から輸入しています。現地にツテがない製作所は日本の商社や販売店から購入しているため、その分割高となります。
機械チャージ
高い精度を求めるほど、それに比例して高価な工作機械を使用しなければなりません。1台1000万円を超える工作機械もありますので、それらを使う場合は工具・治具と併せて機械の使用料が発生します。無論高価な工作機械を使うほど機械チャージは高くなります。
加工費用
金属・樹脂を加工する際の手間賃・時間給などが含まれます。CNCはプログラミング設定を切削前にするので、プログラミング費用も含まれます。技術者の腕や設備している工作機械の台数、納期によっても異なり、製作所が利益を得るポイントでもあるためそれだけ価格差も生まれやすい傾向にあります。
機械加工・機械部品の見積りで価格を安くできる項目はココ!
機械加工・機械部品の見積もりで価格交渉できる項目は「運搬費・梱包費・事務手数料」と「加工費用」となります。
運搬費・梱包費・事務手数料
こちらはまとめて事務費用として算出される内訳ですが、既に取引がある得意先からは元々無料にしている、という製作所もあります。
一方で個人の持ち込みや小ロット加工の場合は加工費で十分な利益が取れないため、事務手数料もしっかりと取ることが普通です。
初めての依頼でもある程度まとまった数量を依頼できるのであれば、この見積り項目は大幅な値下げができる可能性が高いです。
加工費用
数年前までは時間給も考慮していましたが、昨今は時間給に関しては技術者によって大きく異なり、技術レベルが低く工作機械の台数が少ないほど加工費用が高く、その逆だと安くなる矛盾が浮き彫りになったため、時間は考慮せずに案件ごとに費用をまとめて考えるようになりました。
ただし、時間以外にも加工費用に関しては製作所の人員体制や設備投資、納期・加工スピードなどによって大きく差が出て、いずれも目には見えないところとなるためブラックボックス化しやすい欠点があります。
そのため、加工費用が想定よりも高く設定されている場合は、必ずそこをピンポイントで付いて合理的な説明を求めるとともに、見積り価格の交渉をするようにしましょう。
加工単価の目安とは?知っておくべき点と交渉で気を付けること
加工単価(機械チャージ×加工費)は厳密にいうと使用する工作機械の減価償却費用やメンテナンス費用・消耗費などを人件費と掛け合わせて算出するのが合理的な見積り方法とされています。
しかし、ほとんどの金属・樹脂の加工製作所では、そのような計算を1つ1つ行うのではなく、「CNC旋盤で4000円~、マシニングセンタで6000円~、研磨で5000円~のように、ある程度工作機械及び加工工程ごとに目安となる単価が決められていて、それが市場の見積もり相場になっています。
金属・樹脂の機械加工・機械部品の見積もりを依頼&価格交渉する手順
金属・樹脂製作所に見積りの問い合わせ及び価格交渉をする場合は、下記の手順に沿って行ってみるのがいいでしょう。
ただし、日本は古くからものづくり大国として、どの製作所も最高品質の機械加加工・機械部品を制作するために努力を惜しみません。今後もより良き関係を築くためにも、合理性に欠ける値切り交渉は避けるようにしてください。
- 製作所の公式ホームページから問い合わせる
- 見積り相談をする
- 見積りを提出してもらう
- 価格交渉
昨今は多くの製作所でホームページの問い合わせフォームに画像を添付できる仕様となっています。ここでできるだけ具体的な図面・設計図を送付できれば、最短翌日には概算となる見積りを受け取ることができます。
また、価格交渉する際は図面の見直しから行うのが通常となるので、予め社内で図面はしっかりと見直しておくようにしましょう。特に本当にその精度が必要なのかは図面を設計した担当者と何度も吟味してください。製作所からすると「この機械部品にこの精度はオーバースペックだよ」という図面が散見されます。
ホームページから問い合わせても返信がない製作所は避けるべき
製作所の中にはネット集客を疎かにして、ホームページからの問い合わせメールにも気づかないで何日もお客からのメールを放置しているところも散見されます。
しかし、近年のIT&グローバルの波は製造業にも押し寄せており、優良とされる製造業社はどこもネット集客に注力しています。
時代の波に乗れていない製造業に高品質の金属・樹脂製作を依頼するのはリスクがあるので、平日2営業日くらい経っても連絡がない場合、その製作所の利用は避けるのが良さそうです。
まとめ:金属・樹脂の機械加工・機械部品の見積もりは量産請負している製作所に依頼するのがおすすめ
金属や樹脂の製作所は大きく分けて「個人持ち込みを歓迎する小ロット制作を主とした小規模工場」と「大ロット・量産を歓迎する工場」に区別されます。
往々にして量産を歓迎する加工工場は設備投資や技術者の人員育成に力を入れているため、近年のハイテク産業に使う高精度の部品などにも対応できます。
品質重視の機械加工・機械部品を求める場合は量産依頼ができる製作所に見積り依頼をしてみるのが良さそうです。