金属加工で需要の高い部品ですが、精密さを要求すると、それだけコストがかかってしまいますね。近年は製造業側も生き残りに必死のため、各社コストダウンを図っていますが、それでも品質まで下がってしまっては元も子もありません。
そこで、今回は依頼する部品の品質はそのままで、工場側に上手にコストダウンをさせる、あるいは提案する手法をご紹介します。
メーカー担当者は必見です。
目次
部品のコストダウンを依頼する手法はある?
部品のコストダウンを工場にお願いする手法はしっかりと存在します。
工場によっては、そもそもメーカー側がコストダウンを要求してくることを織り込んで見積もりを作っている、なんてところもあるほどです。
特に部品の制作は量産依頼も多いため、コストダウンと納期の縮小は、ほとんどの依頼者がしてくるものと工場担当者は考えています。
では、部品の制作を依頼するにあたり、コストダウンの手法はどのような点が挙げられるのでしょうか。
コストダウンの手法1.部品の納期を工場任せにする
通常はメーカー(依頼主側)が納期を伝え、その後、工場担当者が人員の使用率や工作機械がその期間自由に使えるか否かなどを鑑みて返答をします。もしその期間中は他の依頼で工作機械や人員が埋まってしまっていたら、納期を先延ばしにするか、提携工場に依頼、もしくは従業員に残業代を払って業務に当たってもらうかを判断しなければなりませんので、どちらにせよ見積もりが上がってしまう可能性が高くなります。
そのため、コストダウンの手法としては、部品の納期を極力工場側に合わせることによって、工場の担当者は工作機械を持て余しているときに稼働させることができるので、費用を若干下げることができるのです。
コストダウンの手法2.部品の試作品から完成まで1社に依頼する
金属加工の工場といっても、工場によっては切削をメインにしているところもあれば、表面処理や板金製缶を専門としているところもあります。しかし、切削は切削工場、表面処理は表面処理工場のように、複数の工場に分けて部品の加工依頼をすると、返ってコストが上がってしまうことになります。
図面作成、試作品(量産のとき)、板金製缶、切削、塗装などなど、加工の工程はすべて1社に任せるのがコストダウンを図ることができる大きな手法となります。
コストダウンの手法3.予算を明確に伝える
取引先を決めているメーカー以外は、最初は複数の工場を天秤にかけて相見積もりをとるのが普通ですね。しかし、工場から提示された金額が部品製作に回せる予算を超えていた場合は、「〇〇万円しか予算がなく、これ以下に収めることはできないだろうか」と予算を明確に示すことによって、工場側はコストダウンができる工程を探します。
コストダウンの手法4.設計図をできるだけシンプルにする
工場は設計図に沿って加工をしますが、よく見かけるのが「本当にこの精度が必要なのか」、「もっと安い金属素材でも代用がきくのでは?」という図面です。コストダウンの手法として効果的なのが「設計図の見直し」です。
切削方法が複雑の場合は、それだけ高価な工作機械や治具が必要となります。
治具は消耗品なので、量産となると治具のフィーだけでも相当なものとなります。
また、精度の再確認も行ってください。メーカー担当者は品質を気にしすぎるあまり、オーバースペックとなるケースが良く見受けられます。しかし、精度が高ければ、使う工作機械や手間も違ってきますし、不良率を考慮した見積もりを作らざるを得ないこともあります。「設計図の簡素化」は、コストダウンの手法として、まず最初に取り組んでほしい点とも言えます。
海外工場に部品製作を委託するのは大きなコストダウン手法!しかしデメリットも
依頼する工場が海外にも拠点を有している場合は、海外で部品を制作することによって、通常では到底不可能なコストダウンを図ることもできます。
しかし、海外工場の場合は「納期に遅れる」、「納品された後に不良が見つかる=規格と合わない」といったトラブルが散見します。
海外工場と言えば、いまでも中国が大きな市場を占めていますが、このようなトラブルが起きる原因は、日本人は「正しい工程を踏むことで理想の結果(部品)」を出す一方、中国では「結果が同じであれば工程は気にしない」と考える傾向にあるからです。
そのため、指定された工程通りに加工を行わなかった場合、部品の見た目は同じでも規格に合わないといったケースがあり、一から作り直しとなることがあります。
海外工場に部品を依頼すれば、ほぼ確実にコストダウンができますが、その手法にはリスクも付きまとうことも覚えておきましょう。
部品のコストダウン手法。あまり駆け引きはしない方がおすすめ
部品のコストダウン化を考える場合は、率直に依頼する工場側に予算を含めた事情を話すのが、実は一番おすすめの手法です。
工場側と駆け引きをして最大限の値引きを求めることもできますが、お互いwinwinの関係を築くことが理想の部品の完成に貢献してくれるので、お互いが気持ちのいい取引を目指してみてはいかがでしょうか。
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