アルミニウムの需要は年々高まっていて、日本国内でも電子機器によるIT化に伴い、半導体製造装置やロボット、航空自動車産業など、あらゆる場面でアルミニウムの素材や部品が使われています。また、家庭で使われる台所用品から日用家電でも使われる機会は非常に多く、鉄と並んで、人の生活に最も密着している金属素材の1つと言えるでしょう。
では、そのアルミニウムを切削加工する際は、どのような点に気を付ければいいのでしょうか。
アルミニウムの切削加工を依頼する工場を探しているメーカーはもちろん、アルミニウムの切削加工をメーカーに依頼されたけれど、複雑な設計でうちには自信がない、という方も是非弊社に一度ご相談ください。
目次
- アルミニウムが切削加工に向いている理由
- アルミニウムの切削加工における特徴・条件
- アルミニウムは量産にも向いている
- アルミ合金の種類
- アルミ合金の切削加工は長年の経験と知識が必要
- アルミニウムの切削加工は工程によって難易度がバラバラ!
- アルミ合金の切削加工は技術者によって品質が大きく変わる
- 高精度を求めるアルミ加工は注意が必要
- アルミニウムの切削加工を安く依頼したい場合のポイント
- 海外工場でアルミニウムの切削加工を依頼するとこんな失敗例もある
- アルミニウムを他の金属素材と比較した際の価格事情
- DIYでアルミ切削。個人の持ち込みは可能?
- アルミニウムの切削加工の問い合わせから納品までの流れ
- フィリールでは複雑なアルミ加工も受注!最新の切削加工機と優秀な技術者が在籍
- アルミの試作品から製品化までトータルでサポート
- アルミニウムの切削加工はフィリールにお任せください
アルミニウムが切削加工に向いている理由
アルミニウムは鉄の3分1程度の軽さで、融点と強度が低く、高反射素材という特質があります。
さらに言えば、磁場による影響がない、熱伝導率が高い、リサイクルしやすいといった加工及び素材の特性を持っています。
アルミニウムの成形加工は簡単?難しい?
アルミニウムは強度が低いため、曲げ加工やプレス加工といった塑性加工及び成形加工は比較的やりやすいとされています。ただし、板金には苦戦を強いられます。また、この手の加工は大きな加工機械や設備を必要とするので、取り扱っていない業者もありますし、仮に請け負っていても、別の提携工場に回すこともあります。後者の場合は見積もりが高くなる可能性も孕んでいるので、自社工場の設備をざっくりと訊いてみるのもいいかもしれません。
アルミニウムの切削加工における特徴・条件
アルミニウムは切削加工においては非常に一般的な金属素材となりますが、具体的にどんな特徴と優位性を持っているのでしょうか。
アルミニウムの重量を比較
金属の切削加工でよく使われる素材としては、「アルミ・鉄・銅・チタン」が挙げられます。これらの金属素材の密度となる比重を比べてみると、アルミ(2.7)・鉄(7.8)・銅(8.5)・チタン(4.5)と、アルミニウムが他の金属と比べて2分1から3分1程度軽いことが分かります。アルミよりも軽いものとしてマグネシウム(1.74)が挙げられますが、マグネシウムの切削加工は難易度が高く、また使用用途としては上記と比べると劣ります。
アルミニウムは腐食に強い
アルミニウムは酸素がある場所であれば、自然に酸化被膜が表面に作られるため、腐食に強い耐食性が高いと言えます。ただし、鉄のような不純物がアルミニウムに混じっている場合は、たちどころ耐食性が落ちてしまいますので、表面処理を施してカバーする必要もあります。
アルミニウムは導電性が高い
アルミニウムは導電性が高く、導電性を重視する切削加工素材を選ぶ際は、アルミから銅が推奨されます。アルミは合金も非常に優秀かつ多種に及び、近年は使用する製品に対応した合金を作る技術も進歩しています。
アルミニウムの切削性が良いという意味は「複雑な加工」も可能
アルミニウムは切削性が良いと言われますが、これは「加工速度が速く、複雑な切削も可能」であることを意味しています。そのため、複雑な設計やデザインが求められる場合は、金属素材の特性に合わせることを前提に、アルミを提案することもしばしばあります。
アルミニウムは量産にも向いている
アルミニウムはマニシング加工やフライス加工、旋盤加工などあらゆる切削が可能なのが大きな特徴。また、柔らかく切削がしやすいため短時間でアルミニウムを図面通りに加工することができ、なおかつ熱伝導率が高く工具の熱が外に逃げるため、工具の摩耗や焦げも少なく、誤差もなく精密な加工が可能となります。
アルミニウムは切削加工速度が速い!量産にも向いている
切削加工が成形押出などに劣る点として、「加工速度が遅いため量産に向いていない」ことが挙げられます。しかし、アルミは切削性が非常にいいため、加工速度が速いことがメリットとなります。そのためアルミ部品などは量産加工にも向いており、1万個以上の数物にも対応することができます。
アルミ合金の種類
アルミニウムといっても通常はアルミと他の成分の合金が素材に使われることになります。アルミ純度99%の素材は台所用品などで主に使われています。また、型番は1000番ごとに成分が異なる見分け方となっており、アルミ純度99%は最初の1000番となります。
2000番台……アルミと「銅」の合金。航空産業やギアなどによく使用されます。銅と言えば錆びやすいのが欠点ですが、その反面硬度を高くすることができます。
3000番台……アルミと「マンガン」の合金。硬度はほどほどに、耐食性が高いのが特徴。建築用部材によく使われたり、身近なところではジュースのアルミ缶にも使われています。なお、アルミ缶は3000番台と5000番台で構成されていることが多いです。
4000番台……アルミと「ケイ素」の合金。耐摩耗性が高いのが特徴で、多くは工場内の部品や装置などで使われるため、一般家庭の生活で見ることはそれほど多くはありません。
5000番台……アルミと「マグネシウム」の合金。3000番台と同じく最も需要が高いアルミ合金で、自動車、化学、船舶、建築といった分野で構造部材によく使われます。
他にもアルミニウム+亜鉛+マグネシウムの7000番台やアルミニウム+リチウムの8000番台など、アルミ合金の含有成分と比重によって幾多の種類に分けることができ、切削業者はこれらの金属特性をすべて把握しなければなりません。
もちろんアルミ合金の種類によって切削方法や切削する際の注意点は大きく変わってきます。あまりキャリアのない技術者が先輩の指示もなく切削をしてしまうと、原因不明の不良がおきたり、見た目は同じでも規格にはまらない、なんてこともざらにありますので注意が必要です。
アルミ合金の切削加工は長年の経験と知識が必要
アルミ合金は溶融点が低いため、切削時は熱が出ないように工夫をする必要があるほか、切削や旋盤加工後の表面の変質にも気を配らなければなりません。アルミ合金に関する深い知識はもちろん、長年の経験から積み重ねたノウハウがものをいう世界となります。
切削だけではなく、表面処理や切断・溶接の際にも技術者の“慣れと実績”が必要となるので、依頼をするアルミ合金の実績が工場にどのくらいあるのかは、見積もり段階で確認するようにしましょう。
アルミニウムの切削加工は工程によって難易度がバラバラ!
しかし、決してすべての切削において加工がしやすいというわけではありません。例えばアルミニウムは場合によっては溶着を起こしやすいため、気づかずに切削加工を続けていると、精度が低くなってしまう可能性があります。また、切削加工の過程で素材に傷が入りやすいのも難易度を高くしている要因の1つ。
アルミニウムを通常の切削工具で削る場合は、できるだけ鋭利な種類を使い、時間をかけずに切削する必要があるため、技術者のアルミニウムにおける経験と工具選択に関する深い知識も必要となります。
アルミ合金の切削加工は技術者によって品質が大きく変わる
アルミ加工の多くは銅やマグネシウムなど別の金属を混ぜたアルミ合金として加工することが多いです。アルミ合金は種類によって性質や硬度、バリの出方などが異なりますので、当該アルミ合金の切削に関して豊富なデータを保有している工場に依頼する必要があります。
また、アルミ合金の中でも超ジェラルミンのような少し特殊な合金素材は難削材として扱われることもあり、同じアルミ加工でも「ジェラルミンはうちはやっていないんだよね」と断る工場も普通にあります。
ご覧のように「アルミ=切削しやすい」と認識して工場に依頼すると、思わぬ形で断られたり、高額な見積もりが返ってくることもあることに注意してください。
高精度を求めるアルミ加工は注意が必要
アルミは硬度が低いため切削しやすいのですが、その一方でバリが発生しやすく、屑が工具と加工物に巻き込んでしまい、精度が低下する懸念もあるため、高精度を求めるアルミ加工は難易度が高いとも言われています。
そのため、精度を求めないアルミ加工であれば、相見積もりで一番安い工場を選んでもいいのですが、高い精度や複雑な切削、複数の加工機を必要とする行程があるアルミ加工の場合は、ある程度の実績と最新の工作機械を揃えている工場を根気よく探すのが失敗のない道となるでしょう。
アルミニウムの切削加工を安く依頼したい場合のポイント
アルミニウムの切削加工を工場に依頼する際は、なるべく切削だけではなく、他の加工も一貫してお願いすることです。そうすることによって見積もり時に値引きしやすい箇所が生まれますし、責任の所在もはっきりとしやすいので、依頼するメーカーにとっては一石二鳥にも三鳥にもなります。
また、弊社ではベトナムに工場を持っており、日本全国の加工工場からの提携依頼の問い合わせも日々いただきます。
ベトナムに限らず海外工場に依頼すれば、日本のそれとは比較できないほど割安な見積もりを出すことができますが、それと同時に品質管理と加工チェックが非常に重要となります。
特に量産をする際や提携を検討している場合は、まずは試作サンプルを作ってもらいますが、十中八九1回目の試作品で満足できる品質が納品されることはありません。
弊社フィリールでは試作品の提供も行っておりますし、アルミニウムの切削からメッキまでの量産を依頼される場合は、お客様や提携工場が納得されるまで試作品を作ります。
海外工場でアルミニウムの切削加工を依頼するとこんな失敗例もある
弊社以外の海外工場で、アルミニウムの切削加工の量産を依頼された知り合いのメーカー様がいましたが、担当者の彼がこんな愚痴を漏らしていました。
「もう4回目の試作品を作ってもらっているが、まだ品質の基準をクリアできていない」
「アルミニウムの切削加工後にアルマイト処理をしているが、なぜか油分のような汚れが付着している」
海外の工場によっては日本ではスタンダードではないアルミニウムの切削、メッキ加工、工程を踏んでいることもあり、日本人の技術者がぱっとみても「えっ、彼いまなにやってんの?」と首をかしげることもしばしばあります。
日本人が保有している工場といっても、日本人技師がつきっきりで見ているわけではありません。
そのため、アルミニウムの試作品を作り続けていても、なかなか品質が上がってこない、という問題が浮上しました。
実はこういったトラブルはよくあることでもあります。そのため、弊社フィリールではベトナム工場をしっかりとバックアップ。
品質では引けを取らない自信がありますので、まずはご相談ください。
アルミニウムを他の金属素材と比較した際の価格事情
切削加工を業者に依頼する際は、金属素材の選定にも気を遣わなければなりません。
一般的に金属加工業者問わず、最も安い金属素材は「鉄」とされています。鉄に対してアルミは材料コストが3~4倍かかってしまい、スチールやステンレスと比べても圧倒的にアルミの価格が高くつきます。ただし、アルミはリサイクルにも長けていますし、スチールやその他の金属も合金になると価格の振れ幅が大きくなるため、一概に比較することはできません。
しかし、もし予算を節約したい場合は、アルミ以外の価格の安い素材でも代用が効くかどうかを検討するのも有効です。
例えばステンレスやマグネシウムでも代替えが効くのであればいいのですが、正直コスト面でそこまで金額差がでるとは限りません。
また、アルミといっても合金の場合は、代替えが難しい可能性も高いので、依頼する業者とよく相談するとともに、業者自体がアルミの切削加工に精通していなければなりません。
DIYでアルミ切削。個人の持ち込みは可能?
昨今は新型コロナの影響もあり、DIYが流行っています。木材だけではなく金属版の切断や穴あけを自分でやる人も増えてきました。アルミはホームセンターでも気軽に買うことができますし、お店で売っている工具でも加工することができるので、DIY好きの人に選ばれやすい素材です。
しかし、加工方法によっては旋盤やフライスが必要な場合もありますし、簡単な製缶も自力では難易度は高いです。
そこで、最寄りの金属加工工場に持ち込むことを考えますが、個人がアルミ加工を持ち込む場合は、以下の点に注意してください。
1.加工してほしい場所は明確に指示する
2.精度は期待しない
3.場合によっては想像よりも高くつく
工場に持ち込むのだから、より高い精度で加工ができると考えがちですが、個人の持ち込みの場合は図面は作成しませんし、高価な工作機械は使いません。
また、研磨や塗装など複数の工程を依頼する場合は、それぞれに加工費用が上乗せされますし、塗装を提携工場に持っていかなければならない場合は、運搬費や梱包費も発生します。1000~2000円でできると思っていたアルミ切削が数倍かかってしまうこともあるので、個人の持ち込みは見積りの理解が必要です。
アルミニウムの切削加工の問い合わせから納品までの流れ
アルミニウムの切削加工を工場に依頼する場合は、大きく分けて下記のような行程となります。
1.問い合わせ&図面送付
2.見積もり
3.予算と納期を交渉
4.契約
5.切削加工
6.加工チェック
7.納品
となり、上記行程の中で最も重要なのは3.です。
基本的に工場側が最初に出した見積もりと納期では、折り合いがつかないことがよくあります。
そのため、3.の時点で依頼するメーカー側は、具体的な納期と希望の予算を工場側に伝え、それに合わせて工場が請け負えるか否かを決めます。
ここで重要なのは、「工場側が希望の予算の提示に対してどのような対応をしてくれるか」です。
アルミニウムの切削加工が優秀な工場の提案は質が違う!
優良と呼ばれる工場は、メーカー側が提示する予算に対して「できるかできないか」で判断するのではなく、「どこを工夫すればコストを削減できるか」を考えます。
コスト削減の方法は、基本的に図面を確認して、予算を削減できる箇所を探します。
例えば、上述した金属素材の代用もそうですし、切削が複雑で複数の工作機械が必要な場合は、図面をもっとシンプルにすることによって、切削加工の時間短縮が可能となるかもしれません。
そのため、最初の問合せ時の図面の送付は、なるべく具体的な指示を記載したものであるほうが、工場側としてはありがたいというのが本音となります。
フィリールでは複雑なアルミ加工も受注!最新の切削加工機と優秀な技術者が在籍
アルミは合金によっては難削材として取り扱われ、切削業者の中には「不良率が高くなることが予想されるから、引き受けられない」と依頼を断ることも珍しくありません。また、最初の見積もりの時点で図面が複雑の場合は、それでうんざりして諦めてしまう業者もいます。
そんな複雑な設計であっても、弊社ではCADを使ってしっかりと図面作成を行い、依頼主が要望する精度を実現することができます。最新の切削加工機の所有はもちろん、優秀な日本人技術者が在籍しているので、目利きによる加工チェックも欠かしません。
1万個、10万個の量産もフィリールならではの低コスト化が可能
フィリールは中国に部品生産工場、ベトナムに切削加工工場を有しております。中国では1万平方メートル以上の広大な敷地を有し、10万個以上の数物・量産も可能となります。アルミ素材もすべて現地で調達することができますので、大手の商社と何ら変わらない輸入・仕入れを可能としています。
通常「中国から仕入れている」と言っても、現地の提携工場から輸入していたり、販売代理店や通販で購入するのが普通ですので、実は本当の現地価格で仕入れている町工場はほとんどありません。上記点において、フィリールは非常に他社と比べて優位性があるため、大手のメーカーからも多数受注実績があります。
フィリールにお問合せいただくと、最初にご希望の予算をおうかがいし、コストダウン化の提案を弊社担当者からさせていただきます。中国、ベトナム、日本の3か国で対応できるため、より依頼主の理想の予算と納期をご提示することができるのが弊社の強みとなります。
アルミの試作品から製品化までトータルでサポート
フィリールではアルミの試作品制作から請け負っているため、図面作成、アルミ素材の選定、切削、切削以外の加工工程と製品化までの道筋をトータルで受注することができます。
メーカーの調達担当者の中には、加工工程ごとに依頼する業者を変える人もいます。しかし、その都度図面や見積り、発注書などを管理しなければなりませんし、何より業者を探す時間だけでも相当かかってしまいます。
弊社フィリールでは製品化までトータルで請け負うことを特徴としており、調達担当者のすべての労務を引き受けることができます。
アルミニウムの切削加工はフィリールにお任せください
アルミニウムは他の素材と比べると若干コスト高になり、また、国内で精錬していないので、ほぼ輸入に頼っています。そのため、納期の調整も大事となります。
弊社フィリールは、ベトナムに工場を持っているため、アルミニウムの輸入経路も確立しておりますし、ご依頼主の予算に応じてあらゆる角度からコストダウンの提案をさせていただくことも可能です。
アルミニウムの切削加工について相談したい、加工をお願いしたいという企業・個人の方は、是非一度弊社フィリール株式会社にご相談ください。