SUS303とSUS304は、どちらもステンレス鋼の一種です。両者の名称はよく似ていますが、用途や性質は異なっています。SUS303とSUS304の特徴と、それぞれの違いや加工方法について説明します。ステンレス鋼の知識を深めて仕事に活かしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
SUS303、SUS304とは?
SUS303とSUS304は、ステンレス鋼に分類される合金です。はじめに、ステンレス鋼がどのような合金なのか確認しておきましょう。
ステンレス鋼とは?
ステンレス鋼とは、添加元素Cr(クロム)を10.5%以上含む鋼のことです。
ステンレス鋼の名称には、「SUS」と名前がついています。SUSは、下記の英語の頭文字をとったものです。
・Steel(鉄)
・Use(使用)
・Stainless(錆びにくい)
以上のように、ステンレス鋼は「錆びにくい鉄合金」として知られています。
ステンレス鋼は、大きく下記の5種類に分類できます。
・オーステナイト系
・マルテンサイト系
・フェライト系
・オーステナイト・フェライト系(二相系)
・析出硬化系
ステンレス鋼の名称には、「SUS」と名前がついています。SUSは、下記の英語の頭文字をとったものです。
・Steel(鉄)
・Use(使用)
・Stainless(錆びにくい)
以上のように、ステンレス鋼は「錆びにくい鉄合金」として知られています。
ステンレス鋼は、大きく下記の5種類に分類できます。
・オーステナイト系
・マルテンサイト系
・フェライト系
・オーステナイト・フェライト系(二相系)
・析出硬化系
オーステナイト系ステンレス鋼
オーステナイト系ステンレス鋼は、優れた耐食性を示し、良好な延性や靭性を有する合金です。JIS規格(日本工業規格)では、SUSの後ろに300番台の数字が割り当てられています。たとえばSUS303やSUS304は、オーステナイト系ステンレス鋼の一種です。
オーステナイトとは、鋼を熱処理することで得られる組織の一つで、Fe(鉄)にほかの元素が固溶した組織のことです。固溶とは、ある元素が固体のままFe母相に溶け込んでいる状態を指します。オーステナイト系ステンレス鋼は、主に自動車用部品やプラントなどに使用されています。
オーステナイトとは、鋼を熱処理することで得られる組織の一つで、Fe(鉄)にほかの元素が固溶した組織のことです。固溶とは、ある元素が固体のままFe母相に溶け込んでいる状態を指します。オーステナイト系ステンレス鋼は、主に自動車用部品やプラントなどに使用されています。
マルテンサイト系ステンレス鋼
マルテンサイト系ステンレス鋼とは、マルテンサイト組織を利用して、高い硬度と強度を有する合金です。マルテンサイト組織は、オーステナイト組織を「焼入れ」と呼ばれる急冷を伴う熱処理によって得られる組織です。
マルテンサイト組織はもろくて硬い性質があるため、マルテンサイト系ステンレスは高強度が要求される用途に使用されます。具体的にはシャフトやボルト、タービンブレードやノズルに使用されています。
マルテンサイト組織はもろくて硬い性質があるため、マルテンサイト系ステンレスは高強度が要求される用途に使用されます。具体的にはシャフトやボルト、タービンブレードやノズルに使用されています。
フェライト系ステンレス鋼
フェライト系ステンレスは、加工性に優れることが特徴です。Feをベースとしたフェライト組織は、やわらかい性質をもっています。フェライト系ステンレス鋼は、自動車部品や電気器具部品などに使われています。
オーステナイト・フェライト系(二相系)ステンレス鋼
オーステナイト・フェライト系(二相系)は、オーステナイト組織とフェライト組織の二相を含む合金です。したがって耐食性や靭性に優れるオーステナイト組織と、加工性に優れるフェライト組織の中間の性質を示します。二相系ステンレスは耐海水性や強度に優れるため、海水用復水器や熱交換器に使用されています。
析出硬化系ステンレス鋼
析出硬化系ステンレス鋼は、「析出硬化」と呼ばれる強化方法を利用して、高硬度を有する特徴をもつ合金です。析出硬化とは、Cu(銅)やNi(ニッケル)、Al(アルミニウム)などの元素を添加し、これらの元素から形成される化合物によって硬度を向上させることです。
析出硬化系ステンレス鋼は、耐食性や溶接性にも優れることから、油圧機器部品や航空機などの構造材に幅広く使用されます。
析出硬化系ステンレス鋼は、耐食性や溶接性にも優れることから、油圧機器部品や航空機などの構造材に幅広く使用されます。
SUS303とは?
SUS303はオーステナイト系ステンレス鋼の一種であり、P(リン)とS(硫黄)が添加されています。PとSが添加されている理由は、切削性を向上させるためです。ステンレス鋼を切削加工する際、削りやすさが重要です。一般的に加工が難しいといわれるステンレス鋼にPやSを添加し、削りやすさを改良したステンレス鋼がSUS303であり、オーステナイト系の中でも「快削ステンレス鋼」に分類されます。
SUS303は、JIS規格で下記のように成分が決められています。
・C(炭素)0.15%以下
・Si(シリコン)1.00%以下
・Mn(マンガン)2.00%以下
・P(リン)0.20%以下
・S(硫黄)0.15%以上
・Ni(ニッケル)8.00~10.00%
・Cr(クロム)17.00~19.00%
・Mo(モリブデン)0.60%未満
SUS303は、JIS規格で下記のように成分が決められています。
・C(炭素)0.15%以下
・Si(シリコン)1.00%以下
・Mn(マンガン)2.00%以下
・P(リン)0.20%以下
・S(硫黄)0.15%以上
・Ni(ニッケル)8.00~10.00%
・Cr(クロム)17.00~19.00%
・Mo(モリブデン)0.60%未満
SUS304とは?
SUS304は、オーステナイト系ステンレス鋼の代表的な合金であり、家庭用スプーンなどの身近な用途に広く使用されています。Crを18%、Niを8%含むSUS304は、延性や靭性に優れるだけでなく、冷間加工(室温に近い温度での加工)がしやすい耐食材料です。
SUS304の成分は、JIS規格で次のように決められています。
・C(炭素)0.08%以下
・Si(シリコン)1.00%以下
・Mn(マンガン)2.00%以下
・P(リン)0.045%以下
・S(硫黄)0.030%以下
・Ni(ニッケル)8.00~10.50%
・Cr(クロム)18.00~20.00%
SUS304の成分は、JIS規格で次のように決められています。
・C(炭素)0.08%以下
・Si(シリコン)1.00%以下
・Mn(マンガン)2.00%以下
・P(リン)0.045%以下
・S(硫黄)0.030%以下
・Ni(ニッケル)8.00~10.50%
・Cr(クロム)18.00~20.00%
SUS303とSUS304の違い
SUS303とSUS304の違いは、大きく分けて3つ挙げられます。
・切削性
・耐食性
・溶接性
上記の違いが生じる理由は、各ステンレス鋼に含まれている成分が異なっているからです。ステンレス鋼に含まれるPとSの量が、成分の主な違いだといえます。JIS規格の成分を比較するとSUS304のP量は0.045%以下、S量は0.030%以下であるのに対して、SUS303ではP量は0.20%以下、S量は0.15%以上含まれています。
SUS303に見られるようにPとSを多く添加する理由は、加工時の切削性を改善するためです。しかしPとSを添加すると、耐食性や溶接性を低下するデメリットがあるため、切削性を重視しないステンレス鋼では不純物元素として扱い、添加量を少量に調整します。
たとえばSを添加した鋼は、合金中のMnと反応して介在物(MnS)を形成します。MnSを含むステンレス鋼が腐食されやすい環境で使用される場合、MnSが腐食の起点となるため、錆びやすくなることが欠点です。
さらにMnSが分解して生成される硫化水素が、ステンレス鋼の腐食を促進するため、Sを多く含む鋼は耐食性が劣ってしまいます。したがってPとSを多く含有するSUS303は、SUS304に比べて切削性に優れていますが、耐食性が劣るといった違いがあります。
SUS303は、SUS304に比較して溶接性が劣ることも相違点の一つです。PやSが多いSUS303を溶接する場合、溶接時に割れが発生したり欠陥が生じたりする懸念があるため、溶接性は低くなります。
以上の要点を整理すると、SUS303とSUS304の違いは添加元素PとSの量が異なることです。その結果として、SUS303は切削性に優れていますが、SUS304に比べて耐食性や溶接性が劣る特徴があります。
・切削性
・耐食性
・溶接性
上記の違いが生じる理由は、各ステンレス鋼に含まれている成分が異なっているからです。ステンレス鋼に含まれるPとSの量が、成分の主な違いだといえます。JIS規格の成分を比較するとSUS304のP量は0.045%以下、S量は0.030%以下であるのに対して、SUS303ではP量は0.20%以下、S量は0.15%以上含まれています。
SUS303に見られるようにPとSを多く添加する理由は、加工時の切削性を改善するためです。しかしPとSを添加すると、耐食性や溶接性を低下するデメリットがあるため、切削性を重視しないステンレス鋼では不純物元素として扱い、添加量を少量に調整します。
たとえばSを添加した鋼は、合金中のMnと反応して介在物(MnS)を形成します。MnSを含むステンレス鋼が腐食されやすい環境で使用される場合、MnSが腐食の起点となるため、錆びやすくなることが欠点です。
さらにMnSが分解して生成される硫化水素が、ステンレス鋼の腐食を促進するため、Sを多く含む鋼は耐食性が劣ってしまいます。したがってPとSを多く含有するSUS303は、SUS304に比べて切削性に優れていますが、耐食性が劣るといった違いがあります。
SUS303は、SUS304に比較して溶接性が劣ることも相違点の一つです。PやSが多いSUS303を溶接する場合、溶接時に割れが発生したり欠陥が生じたりする懸念があるため、溶接性は低くなります。
以上の要点を整理すると、SUS303とSUS304の違いは添加元素PとSの量が異なることです。その結果として、SUS303は切削性に優れていますが、SUS304に比べて耐食性や溶接性が劣る特徴があります。
SUS303とSUS304の加工方法
SUS303とSUS304の加工方法には、次の3つが挙げられます。
・曲げ加工
・絞り加工
・切削加工
それぞれの加工方法について、詳しく確認しておきましょう。
・曲げ加工
・絞り加工
・切削加工
それぞれの加工方法について、詳しく確認しておきましょう。
曲げ加工
曲げ加工は、SUS303とSUS304の加工方法の一つです。曲げ加工は、あらかじめ狙った形状の金型を用意し、その形状に合わせて曲げながら変形させる加工方法です。
しかしステンレス鋼の曲げ加工は、比較的に困難です。この理由は、ステンレス鋼のスプリングバックが発生しやすいこと、熱伝導率が低いことの2点あります。
スプリングバックとは、曲げ加工を行っても加工材料の弾性によって、形状が元の状態に戻ってしまう現象のことです。ステンレス鋼ではスプリングバックが発生しやすいため、加工後に形状が戻ることを踏まえたうえで、加工後の変形を防ぐ対策が必要になります。
曲げ加工が難しい2つ目の理由は、ステンレス鋼の熱伝導率が低いからです。SUS303とSUS304の熱伝導率は、いずれも16.3W/m・K(熱伝導率の単位)です。
添加元素が含まれないFeの熱伝導率は67 W/m・Kですから、ステンレス鋼の熱伝導率は低いことがわかります。熱伝導率の値は高いほど熱が逃げやすく、値が低いほど熱が材料にこもりやすいといえます。
したがって、熱伝導率が低いステンレス鋼の曲げ加工を行う際、熱がこもりやすく高温の状態が維持されます。高温状態のステンレス鋼が加工後に急冷されることで、熱応力が発生し割れが発生しやすくなります。
しかしステンレス鋼の曲げ加工は、比較的に困難です。この理由は、ステンレス鋼のスプリングバックが発生しやすいこと、熱伝導率が低いことの2点あります。
スプリングバックとは、曲げ加工を行っても加工材料の弾性によって、形状が元の状態に戻ってしまう現象のことです。ステンレス鋼ではスプリングバックが発生しやすいため、加工後に形状が戻ることを踏まえたうえで、加工後の変形を防ぐ対策が必要になります。
曲げ加工が難しい2つ目の理由は、ステンレス鋼の熱伝導率が低いからです。SUS303とSUS304の熱伝導率は、いずれも16.3W/m・K(熱伝導率の単位)です。
添加元素が含まれないFeの熱伝導率は67 W/m・Kですから、ステンレス鋼の熱伝導率は低いことがわかります。熱伝導率の値は高いほど熱が逃げやすく、値が低いほど熱が材料にこもりやすいといえます。
したがって、熱伝導率が低いステンレス鋼の曲げ加工を行う際、熱がこもりやすく高温の状態が維持されます。高温状態のステンレス鋼が加工後に急冷されることで、熱応力が発生し割れが発生しやすくなります。
絞り加工
SUS303とSUS304の加工方法に、絞り加工も挙げられます。絞り加工とは、1枚のステンレス板からへこんだ形状に加工するプレス加工の一つです。絞り加工では、ステンレス鋼をプレスすることで変形させることで、鍋のような形状に仕上げられます。
SUS304のように加工が難しいステンレス鋼は、絞り加工の中でも「温間絞り加工」が適しています。温間絞り加工では、ステンレス鋼を加熱しながら加工するため、加工時の割れを防げるからです。
SUS304のように加工が難しいステンレス鋼は、絞り加工の中でも「温間絞り加工」が適しています。温間絞り加工では、ステンレス鋼を加熱しながら加工するため、加工時の割れを防げるからです。
切削加工
上記のほかに、切削加工と呼ばれる加工方法もあります。切削加工とは、加工用の工具を使用して材料を削りながら加工する方法です。
切削加工では、以下の工作機械を使用します。
・旋盤
・フライス盤
・マシニングセンタ
・ボール盤
旋盤は、ステンレス鋼を円筒に削り出すために使用するための機械です。刃物を回転させて切削する場合は、フライス盤を使用します。
ステンレス鋼の加工の際、フライス盤をプログラム制御できるようにし、加工工具を自動で交換できる機能が搭載された「マシニングセンタ」と呼ばれる機械が用いられることもあります。またステンレス鋼に精度よく穴をあけるためには、ボール盤を使うと良いでしょう。
このように、ステンレス鋼の切削加工には複数の種類がありますが、ステンレス鋼の加工は難しいことが知られています。なぜなら、ステンレス鋼は熱伝導率が低い特徴と、加工時に硬くなる特徴を有しているからです。
熱伝導率が低いステンレス鋼を加工する際、加工で発生した熱が逃げないため、切削工具に熱がこもる現象が起こります。切削工具に熱がこもると、工具の刃が欠けてしまったり焼き付いたりする問題が発生します。
また加工時に「加工硬化」が生じるため、ステンレス鋼の硬さが向上し切削が困難です。加工硬化とは、加工時の応力を受けて材料の硬度が向上する現象のことです。
以上のようにSUS304では加工性が低いため、切削加工時には材料に関するノウハウが必要です。ステンレス鋼を加工する場合は、加工実績のある企業に依頼することをオススメします。
切削加工では、以下の工作機械を使用します。
・旋盤
・フライス盤
・マシニングセンタ
・ボール盤
旋盤は、ステンレス鋼を円筒に削り出すために使用するための機械です。刃物を回転させて切削する場合は、フライス盤を使用します。
ステンレス鋼の加工の際、フライス盤をプログラム制御できるようにし、加工工具を自動で交換できる機能が搭載された「マシニングセンタ」と呼ばれる機械が用いられることもあります。またステンレス鋼に精度よく穴をあけるためには、ボール盤を使うと良いでしょう。
このように、ステンレス鋼の切削加工には複数の種類がありますが、ステンレス鋼の加工は難しいことが知られています。なぜなら、ステンレス鋼は熱伝導率が低い特徴と、加工時に硬くなる特徴を有しているからです。
熱伝導率が低いステンレス鋼を加工する際、加工で発生した熱が逃げないため、切削工具に熱がこもる現象が起こります。切削工具に熱がこもると、工具の刃が欠けてしまったり焼き付いたりする問題が発生します。
また加工時に「加工硬化」が生じるため、ステンレス鋼の硬さが向上し切削が困難です。加工硬化とは、加工時の応力を受けて材料の硬度が向上する現象のことです。
以上のようにSUS304では加工性が低いため、切削加工時には材料に関するノウハウが必要です。ステンレス鋼を加工する場合は、加工実績のある企業に依頼することをオススメします。
SUS303とSUS304の組織
SUS303とSUS304は、オーステナイト系ステンレス鋼の一種であり、どちらの合金も似た特徴を有する組織です。
これらのステンレス鋼を最終製品に使用する際は、目的とする特性を得るために適切な熱処理を施す必要があります。SUS303とSUS304の場合、1010~1150℃の固溶化熱処理を施した後に急冷を行います。
固溶化熱処理とは、添加元素がFeに溶け込む温度域で行う熱処理のことです。固溶化熱処理を行う理由は、Cr系の炭化物をFeに固溶させ、腐食の原因となる炭化物析出を抑えるために行います。
SUS303とSUS304で用いる冷却方法は、急冷です。熱処理の炉内でゆっくり冷却させる場合、Feに固溶させた炭化物が再び析出してしまいます。この理由は、温度が低くなるほどFeは炭化物を固溶できなくなり、ゆっくり冷却される間に、固溶できなくなった炭化物がFeから排出されるからです。そのため熱処理後の高温状態から急冷を行い、冷却中に炭化物が析出する時間を与えないことで、固溶状態を維持できます。
SUS303やSUS304は、いずれもCrを10.5%以上含むオーステナイト系ステンレス鋼です。Crが含まれている理由は、酸化皮膜を形成させるためです。
酸化皮膜とは、Crが酸素と反応して形成される皮膜のことを指します。ステンレス鋼が酸化皮膜に覆われることで、ステンレス鋼の内部に酸素が行き渡らないようにし、錆びにくいメカニズムになっています。
酸化皮膜を形成するためには、十分な量のCrが必要ですから、ステンレス鋼のCr含有量は一般的に10.5%以上です。
これらのステンレス鋼を最終製品に使用する際は、目的とする特性を得るために適切な熱処理を施す必要があります。SUS303とSUS304の場合、1010~1150℃の固溶化熱処理を施した後に急冷を行います。
固溶化熱処理とは、添加元素がFeに溶け込む温度域で行う熱処理のことです。固溶化熱処理を行う理由は、Cr系の炭化物をFeに固溶させ、腐食の原因となる炭化物析出を抑えるために行います。
SUS303とSUS304で用いる冷却方法は、急冷です。熱処理の炉内でゆっくり冷却させる場合、Feに固溶させた炭化物が再び析出してしまいます。この理由は、温度が低くなるほどFeは炭化物を固溶できなくなり、ゆっくり冷却される間に、固溶できなくなった炭化物がFeから排出されるからです。そのため熱処理後の高温状態から急冷を行い、冷却中に炭化物が析出する時間を与えないことで、固溶状態を維持できます。
SUS303やSUS304は、いずれもCrを10.5%以上含むオーステナイト系ステンレス鋼です。Crが含まれている理由は、酸化皮膜を形成させるためです。
酸化皮膜とは、Crが酸素と反応して形成される皮膜のことを指します。ステンレス鋼が酸化皮膜に覆われることで、ステンレス鋼の内部に酸素が行き渡らないようにし、錆びにくいメカニズムになっています。
酸化皮膜を形成するためには、十分な量のCrが必要ですから、ステンレス鋼のCr含有量は一般的に10.5%以上です。
SUS303とSUS304の主な用途
SUS303は切削性に優れるステンレス鋼であることから、ボルトやナットに使用されます。
一方でSUS304は耐食性に優れるため、次の用途に使用されます。
・建築部材
・車両
・化学設備
・原子力設備
・家庭用品
SUS304は、スプーンなどの身近な製品に用いられていることが特徴的です。たとえばスプーンに使用する材料は、水で洗う度に錆が発生しないように耐食性に優れるものが求められます。このように水分に触れて錆びてしまう懸念がある用途には、SUS304の使用が適しているといえます。
またSUS304は、化学設備などの薬品にさらされる環境にある用途にも適した材料です。このように耐食性に優れるSUS304は、汎用性の高いステンレス鋼だといえるでしょう。さらにSUS304はオーステナイト系ステンレス鋼の中でも、高価なCrとNi含有量が少ないため、価格が安いといった特徴もあります。
まとめ
SUS303とSUS304の特徴や違い、加工方法について紹介しました。SUS303とSUS304の大きな違いは、切削性や耐食性、溶接性の3点です。一般的に広く用いられるステンレス鋼がSUS304であり、切削性を改善したステンレス鋼がSUS303です。ステンレス鋼は切削加工が難しいため、加工の際は企業に依頼することをオススメします。フィリールではステンレス鋼の切削加工はもちろん、難削材の加工実績が豊富です。加工に困った際は、フィリールに相談してみてはいかがでしょうか。
>>>SUS303・SUS304 金属加工のご相談はこちらまで
一方でSUS304は耐食性に優れるため、次の用途に使用されます。
・建築部材
・車両
・化学設備
・原子力設備
・家庭用品
SUS304は、スプーンなどの身近な製品に用いられていることが特徴的です。たとえばスプーンに使用する材料は、水で洗う度に錆が発生しないように耐食性に優れるものが求められます。このように水分に触れて錆びてしまう懸念がある用途には、SUS304の使用が適しているといえます。
またSUS304は、化学設備などの薬品にさらされる環境にある用途にも適した材料です。このように耐食性に優れるSUS304は、汎用性の高いステンレス鋼だといえるでしょう。さらにSUS304はオーステナイト系ステンレス鋼の中でも、高価なCrとNi含有量が少ないため、価格が安いといった特徴もあります。
まとめ
SUS303とSUS304の特徴や違い、加工方法について紹介しました。SUS303とSUS304の大きな違いは、切削性や耐食性、溶接性の3点です。一般的に広く用いられるステンレス鋼がSUS304であり、切削性を改善したステンレス鋼がSUS303です。ステンレス鋼は切削加工が難しいため、加工の際は企業に依頼することをオススメします。フィリールではステンレス鋼の切削加工はもちろん、難削材の加工実績が豊富です。加工に困った際は、フィリールに相談してみてはいかがでしょうか。
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