C3602とC3604は真鍮と呼ばれる黄銅の中でも、被削性に優れている銅合金です。C3602はC3604に比べて冷間鍛造が容易であるなど、特徴に違いが見られます。C3602とC3604の違いや特徴について、詳しく解説します。銅合金の加工を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
C3602、C3604とは?
C3602とC3604は黄銅にPb(鉛)を添加して、被削性を改良した銅合金で「快削黄銅」と呼ばれます。黄銅は真鍮として知られ、銅にZn(亜鉛)を添加した合金です。被削性とは削りやすさの指標で、被削性が良好であるほど加工しやすい傾向が見られます。
黄銅とは?
黄銅は銅をベースにZnを添加した合金で、Znの含有量によって特性が変わります。たとえばZnの割合が増えるほど、硬さは向上します。しかし含有量が多くなると脆くなるため、45%以下に抑えて使用されることが特徴です。
黄銅は様々な特性があり、代表的なものは以下のとおりです。
・導電率が高い
・高温での加工性に優れる
・展延性が良好である
・切削加工しやすい
黄銅は導電性に優れるため、電流が流れる用途に使用されています。また熱間鍛造性が良好であることも特徴の一つです。熱間鍛造性は、高温状態における鍛造のしやすさを示しています。鍛造は材料に圧力をかけて、強度を向上させながら加工する方法です。
黄銅は展延性に優れるため、割れたり破損したりする心配がありません。展延性とはシート状にどの程度広がりやすいかを示す「展性」と、伸ばしやすさを表す「延性」を合わせた指標です。展延性に優れる性質を活かして、材料を細く伸ばしながら加工できます。またPbなどの元素を添加しているため、黄銅の切削加工性は高い性質があります。
一方で黄銅のデメリットは、錆びやすいことです。たとえば黄銅で作られている5円玉は、長時間放置すると黒色に変わります。この理由は表面が酸化され、黒色の酸化銅が形成されるためです。
黄銅は様々な特性があり、代表的なものは以下のとおりです。
・導電率が高い
・高温での加工性に優れる
・展延性が良好である
・切削加工しやすい
黄銅は導電性に優れるため、電流が流れる用途に使用されています。また熱間鍛造性が良好であることも特徴の一つです。熱間鍛造性は、高温状態における鍛造のしやすさを示しています。鍛造は材料に圧力をかけて、強度を向上させながら加工する方法です。
黄銅は展延性に優れるため、割れたり破損したりする心配がありません。展延性とはシート状にどの程度広がりやすいかを示す「展性」と、伸ばしやすさを表す「延性」を合わせた指標です。展延性に優れる性質を活かして、材料を細く伸ばしながら加工できます。またPbなどの元素を添加しているため、黄銅の切削加工性は高い性質があります。
一方で黄銅のデメリットは、錆びやすいことです。たとえば黄銅で作られている5円玉は、長時間放置すると黒色に変わります。この理由は表面が酸化され、黒色の酸化銅が形成されるためです。
C3602とは?
C3602は快削黄銅1種に該当し、旧JIS記号で「BsBM1」と呼ばれていた銅合金です。C3604に比べて銅の割合が大きく、冷間鍛造性に優れる特徴があります。粘りがあり切削加工時に巻かれた状態の切断粉が発生するため、取り扱いに注意が必要です。
C3602のJIS規格(日本工業規格)では、以下のように成分が決まっています。
・Cu(銅)59.0~63.0%
・Pb(鉛)1.8~3.7%
・Fe(鉄)0.05%以下
・Fe+Sn(スズ)1.20%以下
・Zn(亜鉛)残部
C3602のJIS規格(日本工業規格)では、以下のように成分が決まっています。
・Cu(銅)59.0~63.0%
・Pb(鉛)1.8~3.7%
・Fe(鉄)0.05%以下
・Fe+Sn(スズ)1.20%以下
・Zn(亜鉛)残部
C3604とは?
C3604は快削黄銅2種に該当し、旧JIS記号では「BsBM2」と呼ばれていました。C3602と比較して切削性に優れ、加工時の切断粉は細かい特徴があります。C3604は機械加工しやすく、C3602よりも流通性が高く入手しやすい合金です。成分規格は、以下のとおりです。
・Cu(銅)57.0~61.0%
・Pb(鉛)1.8~3.7%
・Fe(鉄)0.05%以下
・Fe+Sn(スズ)1.20%以下
・Zn(亜鉛)残部
C3602と比べると、Cu量に違いが見られます。Znは残部のため、Cuの量に応じてZn量も変化します。具体的にC3604は銅の割合が小さいので、C3602に比べてZnの割合は大きいといえます。
・Cu(銅)57.0~61.0%
・Pb(鉛)1.8~3.7%
・Fe(鉄)0.05%以下
・Fe+Sn(スズ)1.20%以下
・Zn(亜鉛)残部
C3602と比べると、Cu量に違いが見られます。Znは残部のため、Cuの量に応じてZn量も変化します。具体的にC3604は銅の割合が小さいので、C3602に比べてZnの割合は大きいといえます。
C3602とC3604の加工方法
C3602とC3604の違いは加工性にあり、C3602は冷間鍛造がしやすいことが特徴です。冷間加工は、室温に近い温度で材料を加工する方法です。冷間鍛造で加工すると、材料の利用効率が高くなるメリットがあります。
切削加工で発生したスクラップ材料は、切削くずとして扱われるため再利用が困難です。しかし冷間鍛造では削る加工工程がないので、切削くずなどのムダになる材料が生じません。したがってほとんど100%の歩留まりで、効率よく加工できます。
冷間鍛造では室温付近の温度で加工するため、昇温プロセスを省けます。そのため温度を上昇させる時間を削減でき、高い生産性で加工できることも特徴の一つです。さらに高温で加工する熱間加工とは異なり、製品を高精度に仕上げられます。
冷間鍛造では大きい負荷をかけるため、材料が割れる懸念があります。しかしC3602は展延性に優れており割れが生じにくい性質を有するため、高負荷にも耐えられます。冷間鍛造ではC3602のように、割れが発生しにくい材料に適している加工方法です。
冷間鍛造は金型が必要になるため、初期コストがかかったり金型設計の手間がかかったりするデメリットがあります。そこでC3602やC3604では、切削加工も適用されています。切削加工は工具で削る方法で、主な加工方法は旋盤加工やフライス加工、穴あけ加工などです。
旋盤加工は材料を高速回転させて、刃物をあてることで切削する加工です。旋盤を使って回転させるので、円筒状の製品を作るのに適しています。手動で加工する方法以外に、NC旋盤やCNC旋盤があります。NC旋盤はコンピューターで数値制御する加工方法で、CNC旋盤ではコンピューター制御機能が備わっている工作機械を使用する加工方法です。
フライス加工は固定した材料に対して、刃物で加工する切削加工です。面を削ったり溝を彫ったりする加工ができ、削り方の自由度が高い特徴があります。手動による加工のほか、工具を自動制御するNCフライス盤が使用されることもあります。
穴あけ加工は材料を固定し、穴をあける加工方法です。一般的にはボール盤とドリルを使って加工します。
切削加工で発生したスクラップ材料は、切削くずとして扱われるため再利用が困難です。しかし冷間鍛造では削る加工工程がないので、切削くずなどのムダになる材料が生じません。したがってほとんど100%の歩留まりで、効率よく加工できます。
冷間鍛造では室温付近の温度で加工するため、昇温プロセスを省けます。そのため温度を上昇させる時間を削減でき、高い生産性で加工できることも特徴の一つです。さらに高温で加工する熱間加工とは異なり、製品を高精度に仕上げられます。
冷間鍛造では大きい負荷をかけるため、材料が割れる懸念があります。しかしC3602は展延性に優れており割れが生じにくい性質を有するため、高負荷にも耐えられます。冷間鍛造ではC3602のように、割れが発生しにくい材料に適している加工方法です。
冷間鍛造は金型が必要になるため、初期コストがかかったり金型設計の手間がかかったりするデメリットがあります。そこでC3602やC3604では、切削加工も適用されています。切削加工は工具で削る方法で、主な加工方法は旋盤加工やフライス加工、穴あけ加工などです。
旋盤加工は材料を高速回転させて、刃物をあてることで切削する加工です。旋盤を使って回転させるので、円筒状の製品を作るのに適しています。手動で加工する方法以外に、NC旋盤やCNC旋盤があります。NC旋盤はコンピューターで数値制御する加工方法で、CNC旋盤ではコンピューター制御機能が備わっている工作機械を使用する加工方法です。
フライス加工は固定した材料に対して、刃物で加工する切削加工です。面を削ったり溝を彫ったりする加工ができ、削り方の自由度が高い特徴があります。手動による加工のほか、工具を自動制御するNCフライス盤が使用されることもあります。
穴あけ加工は材料を固定し、穴をあける加工方法です。一般的にはボール盤とドリルを使って加工します。
C3602とC3604の組織
C3602やC3604などの黄銅は、固溶強化を利用することで高い強度が得られます。固溶強化とは金属中に添加元素が溶け込んで、材料が強化される現象のことです。たとえば銅合金では銅の中に、Znなどの添加元素が溶け込むことで材料強度が上昇します。
固溶強化が起こる要因の一つが、原子サイズの差です。銅合金を例に挙げると、銅と添加元素(Zn)の原子サイズは違っているので、規則正しく配列した銅原子の中にZnが溶け込むとサイズ差が発生します。サイズ差があると原子レベルで狭くなる部分が生じ、結果として強度の向上につながります。
黄銅に含まれているPbは、近年ヨーロッパやアメリカで規制されている元素の一つです。たとえばヨーロッパのRoHS(ローズ)指令では、Pb含有量は0.1%以下に規定されています。そのためPbを含まない「鉛フリー快削黄銅」などの新規材料が開発されています。
「鉛フリー快削黄銅」はPbを含有しなくても優れた切削加工性を保ち、高強度と加工性を両立するため、既存の快削黄銅にかわる材料として最適です。このように特性を向上させるだけではなく、環境への配慮も視野に入れて材料開発が進められています。
固溶強化が起こる要因の一つが、原子サイズの差です。銅合金を例に挙げると、銅と添加元素(Zn)の原子サイズは違っているので、規則正しく配列した銅原子の中にZnが溶け込むとサイズ差が発生します。サイズ差があると原子レベルで狭くなる部分が生じ、結果として強度の向上につながります。
黄銅に含まれているPbは、近年ヨーロッパやアメリカで規制されている元素の一つです。たとえばヨーロッパのRoHS(ローズ)指令では、Pb含有量は0.1%以下に規定されています。そのためPbを含まない「鉛フリー快削黄銅」などの新規材料が開発されています。
「鉛フリー快削黄銅」はPbを含有しなくても優れた切削加工性を保ち、高強度と加工性を両立するため、既存の快削黄銅にかわる材料として最適です。このように特性を向上させるだけではなく、環境への配慮も視野に入れて材料開発が進められています。
C3602とC3604の用途
C3602とC3604は優れた被削性を活かして、複雑かつ精密な形状に加工できます。したがって主な用途は、以下のとおりです。
・ボルト
・ナット
・ねじ
・歯車
・バルブ
・ライター
・時計
・カメラ
・コンピューター機器部品
・通信機器部品
・エアコン部品
・水回り関連
また金や銀を使ったメッキが簡単なため、キッチンやトイレといった水回りの用途にも使用されます。
・ボルト
・ナット
・ねじ
・歯車
・バルブ
・ライター
・時計
・カメラ
・コンピューター機器部品
・通信機器部品
・エアコン部品
・水回り関連
また金や銀を使ったメッキが簡単なため、キッチンやトイレといった水回りの用途にも使用されます。