近くの金属加工で旋盤や試作の切削依頼を考えているメーカー・企業担当者は、どのような基準で工場を決めていますか。単にネットで調べて一番上位にヒットしたところや、近場にある工場に依頼してしまうと、驚くほどコスパが悪く高くついてしまうかもしれませんよ。
ここでは企業向けに近くの金属加工で旋盤や試作を依頼するときの注意点を解説します。材料販売をしている業者を探すのがポイントです。
目次
近くの金属加工工場に持ち込みするのは個人だけ?
もし企業担当者の中に、工場を探すのが面倒だからという理由で、近くの金属加工工場に持ち込みしているのであれば、かなりリスクが高い行為であることを覚えておいてください。
昔であればインターネットも普及していなかったため、依頼できる金属加工工場・業者が身近で探すしかありませんでしたが、2000年以降はネットで全国から優良の金属加工工場を探すことができます。
個人の持ち込みレベルであれば近くの金属加工工場でも構いませんが、企業やメーカーがtoBあるいはtoCで提供するための製品を依頼するのであれば、必ずインターネットを駆使して金属加工工場を探すといいでしょう。
個人はホームセンターで金属加工を依頼できる
一方で個人が金属加工工場で依頼をしたいが近くに工場がない場合は、最寄りのホームセンターに行ってみるのがいいでしょう。昨今はDIYが人気のため、多くのホームセンターが金属素材を扱うようになりました。
そのため、ホームセンターの中には近くの金属加工工場と提携して、仕入れや個人客の加工依頼を請け負っているところもあります。仮にホームセンターで断られても、出入り業者を紹介してくれることもあります。
対面で商談したい場合は近くの金属加工工場を探そう
企業担当者の中には「提携する金属加工工場の担当者とは一度直接会って商談したい」という人もいるでしょう。コロナ以降はzoomのようなオンライン会議システムでやりとりする会社が多くなりましたが、まだ対面の商談を重要視している人は多くいます。
そういった場合は、近くの金属加工工場を探すべきといえますが、それでも知っている工場だけに問い合わせするのではなく、ネット検索でしっかりと複数社をピックアップして、商談と相見積もりをこなしてください。
近くの金属加工工場で旋盤や溶接、板金加工を依頼する場合の注意点
近くの金属加工工場で旋盤やフライスといった切削加工、溶接・製缶、板金加工など複数の加工工程を依頼する場合は、工場の提携先の事情を相談時に聞いてみるのがいいでしょう。「うちですべての加工ができますよ」と言われても、実際自社工場でできる加工工程は切削だけで、残りは提携先に委託するのが普通です。提携先の品質も分からないですし、近場になければ運搬費が余計にかかってしまいます。
また、提携先との力関係も大事となり、依頼した金属加工工場が提携先に対して弱い立場の場合は、割高な見積りとなることもあります。
切削加工工場に板金加工を依頼すると、上記のように提携先に委託する分高くつくので、商談する前は自社が求めている加工工程に強みを持つ専門業者かどうかを確認するといいでしょう。
旋盤加工を製造業社に相談するときは技術と設備のバランスを確認
旋盤加工は切削加工の中でも最もメジャーな加工工程の1つとなります。切削を専門とする製造業であれば間違いなく請け負っている加工でもあります。
しかし、近年は半導体をはじめ、あらゆる電子部品の小型化が進んでおり、ベテラン技術者であっても相応の工作機械がなければ望んだ加工が実現できないケースが増えてきました。
そのため、技術を売りにしているだけではなく、最新の旋盤工作機をしっかりと整備しているところを選定すれば、近くの金属加工工場でもトラブルなく安心して製品化まで依頼できるでしょう。
近くの金属加工工場に設計や試作を依頼する場合のポイント
製品化をする最初の段階で試作加工は欠かせません。しかし、試作加工を依頼する場合は設計の段階から詳しく打ち合わせができる窓口担当者がいる製造業を選ぶべきと言えるので、近くの金属加工工場で実現できるかは定かではありません。
また、試作加工を本生産とは別の製造業に委託すると、工作機械や加工工程の違いから図面通りに切削しても規格に合わない事態が発生することもあります。
「試作は近くの金属加工工場に依頼して、本生産はネットで見積りが安い業者に委託しよう」と考えている企業担当者は注意が必要です。
「素材の販売」をしている近くの金属加工業者がおすすめの理由
近年新型コロナやロシアウクライナ問題、歴史的円安などを背景に、物流と金属・樹脂素材の調達価格が高騰しています。近くの金属加工工場が日本国内の販売店から素材を仕入れていると、コロナ前の1.2倍から1.5倍、場合によっては2倍近く見積り価格が上がっているかもしれません。
金属や樹脂素材の材料価格の高騰は2023年以降も数年にわたって続くことが予想されているので、コストダウンを図りたい企業担当者は、「他社よりも素材を安く仕入れることができる製造業社」を探すのがおすすめです。
海外工場を持っている製造業社で素材の販売をしているところを探す!
中国やベトナムといったアジアに自社工場を持っていて、なおかつ自社で素材の販売をしている業者は、往々にして海外現地から直接素材を仕入れることができているので、見積り価格も他社と比べて安いはずです。
また、調達に自信がある業者は、加工だけではなく素材の販売事業も担っているケースが多いです。もし近くの金属加工工場に上記該当するところがあれば、一度相見積もりをとってみるといいでしょう。その業者がどれだけ調達に自信があるかが分かるはずです。
まとめ:できるだけ地域に捕らわれずに優良業者に問い合わせしよう
今回は近くの金属加工工場に依頼するポイントを解説しました。上記でも触れたように、特別な事情がない限りは、地域に捕らわれずに全国から優秀な製造業を探すのがおすすめです。
特に昨今は製造業を選ぶときは、海外に独自の調達網を持つ業者と取引するのが安定した価格で加工依頼できるコツとなります。