金属加工・機械加工を依頼する企業もコロナ後は相次ぐ製造価格の高騰で大幅なコストダウンが求められています。そこで、ここでは調達担当者に知ってほしいコストダウン化の手順やポイントをご紹介します。
目次
コストダウンを図る前に。金属の機械加工にかかる費用とは?
メーカー企業の担当者はコストダウンを図る前に金属の機械加工を製作所に依頼するときの必要費用の内訳を知っておくといいでしょう。
見積りの内訳や費用の構成方法を知ることによって、どこの部分でコストダウンを図ることができるかが理解できますし、悪質な製作所にぼったくられる心配もありません。
金属の機械加工費用の見積り内容・内訳
- 加工費用
- 素材費用
- 運搬費用
- 梱包費用
- 事務費用
上記を総合的に鑑みて機械加工費用は決まります。上記の中で最も複雑となるのが「加工費用」で、製作費用・人件費・機械チャージ・工具や治具費用などが含まれます。
時間チャージを請求する製作所・業者は信頼できない?
金属加工の製作所の中には、加工費用に「時間チャージ」を含めて計算するところも数多くあります。しかし、昨今は時間チャージを考えずに案件の手間賃などを考慮するのが一般的となります。
時間チャージは名前の通り加工にかかる時間を費用計算することになりますが、技術者のレベルや工場が整備している工作機械によって大きく変動し、工場側の匙加減に依るところが大きくなるため、依頼企業からするとブラックボックス化した費用項目となります。
そのため、見積り費用が高い言い訳に時間チャージを説明する業者は注意が必要です。
機械加工の初期費用の考え方
機械加工の見積もり時には「初期費用」を設定する業者も少なくありません。初期費用は射出成型では金型費用、切削加工では高価な工具や治具代となり、また初回の材料調達費も含まれます。
ただし、加工数量が少量であったり、在庫で賄うことができる、加工の手間が比較的かからない板金などは初期費用無料という業者もあります。
ただし、大ロット(量産)の場合は最初の初期費用はかかるものの、次回の生産からは徐々に加工費は減少していきます。
金属の機械加工でコストダウンを図るポイント
金属の機械加工で企業の調達関係者がコストダウンを図りたい場合は、まずは相見積もりで相場を知っておくことが必要です。業者にとっては「根拠のない値切り交渉」や「下限が見えない値引き」が一番怖い状況となります。そのため企業担当者は業者に高い品質の加工を成功してもらう意味でも、適正価格を事前に理解しておくことは非常に重要な要素となります。
業者が自信のある工作機械・作業内容で機械加工をする
金属加工工場といっても、業者によって得手不得手は大きく異なります。アルミに強いが特殊合金の実績は少ない業者もありますし、旋盤やフライスはCNC加工機があるものの、レーザー加工機は整備していないなど、業者は図面を確認する段階で自分たちの強みを活かした加工方法を考えます。
そのため、依頼をする企業担当者は、場合によっては図面を業者に作り直してもらったり、工作機械の指定をしなかったり、業者が強みを持つ金属素材に変更することも視野に入れるのもコストダウンに成功するポイントとなります。
単品の機械加工は避ける。少なくともいいのでロットで依頼するのがコストダウンに不可欠
切削を中心とした機械加工業者は、基本的にロットの依頼でなければ十分な利益を確保することができません。個人の持ち込みを断る業者の理由も同じです。ただし、個人の場合は持ち込み・持ち帰りが基本なのでその他の事務手数料や運搬費・梱包費用がほとんどかからないため、積極的に受注するところもあります。
一方で企業が単品加工で、しかも業者に納品までさせる場合、割に合わない仕事となることが多いです。そのため、案件を断るか、初期費用を高くするか、運搬費などを実費請求するかを検討しなければなりません。
小ロットでも構いませんので、コストダウンを考える場合は必ずまとまった数量を依頼するようにしてください。
機械加工業者の担当者/社長の人柄に注意が必要
機械加工を依頼するときは、企業担当者は最低一度は直接工場内部を見学したり、担当者や社長と対面で打ち合わせをするのがおすすめとされています。
機械加工の納期は稼働可能な工作機械の数によって決まります。そのため、実際に工場内部を見学して工作機械の稼働割合を見てみることは大切です。仮に十分な数の工作機械が整備されていても、ほとんどが別案件で稼働中の場合は納期が予想以上に遅れるかもしれません。
また、責任者や社長がいい加減な人柄であれば、納期を守ってくれないこともありますし、他社からもっと大きな案件を受注したら、割り込んで自社の加工を後回しにすることもあるかもしれません。
新型コロナ以降は海外に支店工場を持つ業者が大幅なコストダウンを図れる
新型コロナ以降はロシア・ウクライナ戦争や米国の利上げ、それに伴う歴史的円安といった悪条件が重なり、ほとんどの機械加工業者が金属素材の調達に苦労しています。
アルミやステンレスのような需要が高くありふれた金属素材でありながらも、新型コロナ前後では3割以上仕入れ価格が高騰しており、2023年現時点でもピークアウトの兆しは見えておりません。
そこで強みを持つ機械加工業者というのが「海外に工場を持つ製作所」です。
中国や東南アジアに自社工場や提携工場を持っている業者は、商社を介さないで金属素材を調達(輸入)することができるほか、海外工場で機械加工ができれば、人件費分大きなコストダウンを図ることができます。
海外工場に機械加工を依頼してコストダウン化する注意点
海外工場も一昔前と比べると大分現地人の技術が上がっています。日本メーカーの工作機械を海外現地に整備し、日本からプログラミングを伝えることによって、限りなく高い品質の機械加工を実現できます。
ただし、製作所によっては海外工場の技術者への指導や工作機械の設備投資を疎かにしているところもありますので、依頼するときは海外工場の加工実績を質問してみるのが良いでしょう。
まとめ:金属の機械加工におけるコストダウンはフィリールへご相談を
今回は金属の機械加工におけるコストダウンの基本的な方法を解説しました。ただし、業者によって見積りの計算方法は異なるため、まずは問い合わせて図面を送ってみるのが良いでしょう。
弊社フィリールは大阪・関西圏を中心に全国対応している切削専門業者で、板金・製缶や表面処理といったあらゆる加工を一気通貫で引き受けることができます。
具体的な図面を頂ければ最短即日で見積りをお出しすることができるので、コストダウン化を含めて是非お気軽にご相談ください。