近年は自動車・航空宇宙・医療など高度な産業において難削材による金属加工が求められるケースが増えてきました。そこで、ここでは最新技術とノウハウで切削加工できる業者を紹介します。
目次
難削材とは。読み方や種類など
難削材とは漢字の通り難しい切削技術を要求される素材を指し、読み方は「なんさくざい(Difficult-to-cut material)」となります。
難削材と一概にいっても金属の種類は数十種類にもわたって多いです。下記は難削材の中でも比較的需要の高い素材となります。
- セラミックス
- チタン合金
- ステンレス鋼
- マンガン
- インコネル
- ハステロイ
上記は一例ですが、難削材にはこれといった定義はなく、また金属加工の製作所によって蓄積しているノウハウや整備している工作機械、技術者のスキル・ノウハウが異なるため、「うちはアルミ加工も難削材と見なしている」、「うちはステンレスは得意だけどマンガンは難削材かな」など製作所によって見解や線引きも変わります。
一般的な難削材の条件や加工の注意点
一般的に難削材は硬い素材となり、熱伝導率が低いため熱が外に逃げづらいのが特徴です。そのため、素材に歪みが生じ高い精度が出せなかったり、工作機械や工具が摩耗して寿命が短くなってしまい、加工コストが上がってしまうというデメリットがあります。
そのため、小さな町工場では難削材は不良率が高くなりがちで、なかなか要求された精度を出せないことも多く、「もう引き受けたくない」と考えて断る製作所・業者も多く存在します。
難削材の用途。活用事例が多い業界・産業
難削材の用途は年々増えており、業界別に挙げれば自動車・航空&宇宙・医療・半導体といった業界・産業が主となります。
例えば自動車や航空・医療といった産業では、年々軽量かつ頑丈といった条件が求められている他、高い精度も要求されるようになっています。特にギヤやエンジンなど重要なパーツに難削材の加工を求められる場合は、公差は厳守となり、パーツ1つの規格が異なるだけで自動車が動かない、なんてこともざらにあります。
難削材を安く切削加工依頼するためには製作所の最新技術が必要
難削材は上述したように工作機械や工具の寿命を短くし、さらに高精度は希望の交差を出せるかどうかの瀬戸際で切削加工します。
そのため、機械加工費用はどうしても普通の金属素材と比較すると高くなってしまいます。その中でも難削材を安く切削加工依頼したい場合は、どのような基準や条件で製作所を選ぶのがおすすめなのでしょうか。
1.加工したい金属の切削加工が得意な製作所を探す
まずは自社で加工を依頼したい金属素材を得意としている切削加工製作所を探しましょう。大阪や東京といった大都市圏で探すのがおすすめです。製作所のホームページ上の実績を見ても良いですし、直接問い合わせて質問するのもいいでしょう。製作所側も無用なトラブルは避けたいため、難削材に対して得意としているか否かは正直に応えてくれるはずです。
2.難削材を切削するための最新技術の工作機械を整備しているかどうか
難削材を切削するためには、通常よりも高い剛性の工作機械が求められます。剛性の高い工作機械は往々にして工具も丈夫で、難削材専用の特殊な治具もあります。製作所がそれらを整備しているようであれば、見積りを貰って具体的な話を進めてみるのがいいでしょう。
ちなみに最新技術の工作機械を持っているかどうかは製作所のホームページを見れば大抵わかるほか、近場であれば直接工場を見せてもらうのも良いですし、メールで問い合わせることもできます。ただし依頼者側もある程度の工作機械。機械加工の知識が必要となります。
製作所に難削材の切削加工依頼をする前の確認事項
製作所に難削材の切削加工を依頼する際は、事前に以下の件について社内で確認しておくのがいいでしょう。
場合によっては大幅なコストダウンを図ることもできるかもしれません。
本当に難削材が必要?金属素材の種類を再考する
難削材を得意としている製作所であっても、高価な工作機械と工具を使う以上、機械チャージと加工費用は高くついてしまいます。そのため、見積り費用を値切り交渉するよりは、「本当に難削材でなければ駄目なのか」を社内で再度話し合うのがおすすめです。「インコネルではなく、ニッケルやステンレスではダメなのか」などを打ち合せしてみてください。実際は多くのケースで素材を変えても成り立ちます。
その図面は本当にこれ以上シンプルにできないのかを検討する
メーカーの技術部が図面を制作する際は、製品・パーツの正確性を重要視するあまり、図面が複雑になりがちです。しかし、同じ製品・規格・精度であれば、図面はシンプルに越したことはありません。特に切削は基本的にアンダーカットや薄ものは工具が入らないので物理的に切削加工ができないこともあります。単純に縦横の削りには強く精度も出ますし加工スピードも速いため量産にも向いています。
社内で図面の見直しが難しい場合は、製作所に問い合わせる際に図面も送付して再作成の依頼をするのもおすすめです。
難削材の切削加工は大阪のフィリールにご相談下さい
今回ご紹介したように、難削材に該当する素材は数多くありますし、切削加工をする製作所によっても受け取り方は違います。
弊社フィリールは大阪を拠点に活動している切削加工製作所となりますが、最新技術を搭載した5軸加工機や複合加工機を整備しているため、できるだけ多くの種類の難削材を加工できるように努めています。
また、図面の見直し・簡素化の提案も可能ですし、試作品から受注することによって本当にその金属素材が必要なのか、本当にその精度が必要なのかも見直すことが可能です。
メーカーの多くは安心のため公差を余分にとることが多いですが、あまりに厳しい公差だと加工費用が跳ね上がりますし、加工スピードも遅くなるため納期もずれ込みます。
精度を見直すときはオーバースペックにならないように最適な公差を考えるお手伝いもさせていただきます。
ベトナム工場で切削も可。コストダウンの提案もできます
弊社フィリールはベトナムのホーチミンに自社工場を据え置き、こちらでも切削を承ることができます。ベトナム工場にも日本で使っている日本製の工作機械を整備していますし、現地のベトナム人技術者には日本人技術者が直接指導しているほか、プログラミングは日本技術者が伝えることで、極力日本で加工するのと同じ技術をベトナムにて再現しています。
新型コロナの渦中は空輸・船便ともに物流価格が高騰していたり、不定期就航だったためご不便おかけしていましたが、2023年以降になるとすでに平常化しておりますので、お客様に対してベトナム工場によるコストダウンの提案もさせていただくことが可能です。
まとめ:難削材の切削加工は製作所選びが重要!時間をかけて探してみて
難削材はその硬度から工作機械と工具を選びます。そのため、まずは当該金属素材を切削できる技術と工作機械を兼ね備えている製作所を探さなければなりません。
ホームページ上では分からない部分も多いので、いくつか良さそうな製作所をピックアップしたのち、1社ずつ連絡をとり相談したのち、見積りをとるのがおすすめです。